はじめまして、東大温泉サークル「OKR(おける)」代表の橋本です。
1年で100回以上温泉に入った僕がどうしても気にしてしまうのは、お金の問題。いい温泉にたくさん行きたいけれど、お金が足りず諦めることもしばしば。そんな悩みを持っていた僕が見つけたコスパ最強宿が、熊本県水俣市にありました。
宿の名前は「喜久屋旅館」。なんとこちら、1泊3食5000円という驚きのコスパを実現する温泉旅館なのです。
しかしながら、温泉の泉質も素晴らしく、料理の献立もとても豪華。安さだけでも、温泉だけでもない、何度でも訪れたくなってしまう魅力をご紹介します。
目次
温泉に入る前から感動!レトロな部屋と豪華な料理
今回の目的地は、水俣市郊外の「湯の鶴温泉」。
山の中にひっそりと佇む小さな温泉街は、新・日本名湯百選にも選ばれるほどの実力派温泉です。
そんな湯の鶴温泉へのアクセスは、肥薩おれんじ鉄道線・水俣駅から市が運営するコミュニティバスで1本。新しくなった水俣駅の駅舎は、カフェと展示スペースがあってバスの待ち時間もゆっくり過ごせそうです。
小さくてかわいらしいバスに乗り込み、こぢんまりとした水俣の市街地をぐるりと巡って山道に入ります。40分ほど乗って着いた「湯ノ本」バス停で下車。運賃は300円と、とってもリーズナブルです。
バス停の目の前の橋を渡ってすぐのところにある「喜久屋旅館」が、本日の宿です。
いかにもレトロな建物は、入った瞬間から大当たりの予感を抱かせてくれます。女将さんは物腰が柔らかい方で、遅く着いた僕を気遣ってくれました。

レトロな雰囲気が素敵な玄関
案内された部屋は「十三號室」、湯治旅館らしい六畳間が一つの部屋です。早速畳にゴロンと寝転ぶと、独特の空気感のおかげで実家以上に落ち着いて眠くなってきました。

畳の部屋はやっぱり落ち着く
ですが、今はお待ちかねのご飯の時間。長旅の疲れでお腹はペコペコです。
海幸山幸の豪華な献立におどろき!
さて、運ばれてきた料理にびっくり。
とても量が多いだけでなく、彩り豊かで品数も豊富。これだけで数千円かかってもおかしくないような美味しそうな料理の数々が夢の共演を果たしているのです。

海幸山幸の豪華な夕食
お刺身、タコの酢味噌和え、太刀魚の塩焼き、カレイの唐揚げと、不知火海の恵みがふんだんに使われているだけでなく、牛肉の陶板焼きなどもあって海幸山幸の豪華な晩ご飯と相成りました。もちろん味は絶品。具沢山のお汁は出汁がよく効いていて疲れを癒してくれました。
源泉かけ流しの新鮮湯
お腹が満たされたところで、早速温泉に行ってみます。貸切風呂が檜風呂と露天風呂の二つと、男女別の内風呂が一つずつあります。色々なお風呂が楽しめます。
まず入ってみたのは貸切露天風呂。和室そのままの脱衣所で服を脱いで入ってみると、ほんのりとろみのあるまろやかなお湯を独り占めできて最高の気分が味わえます。岩をふんだんに使った浴槽は5、6人は入れそうな広さで、湯量も豊富です。

和室をそのまま活かした脱衣所

庭園の中にいるような露天風呂
泉質は「単純硫黄泉」
喜久屋旅館の泉質は「単純硫黄泉」。硫化水素が入っていないので、敏感肌の人でも楽しむことができます。
硫黄の匂いはほとんどしないので、衣服が硫黄くさくなる心配もありませんね。源泉の温度が比較的低いので、加水されずにお湯が使われていて、新鮮なお湯をじっくりと楽しむことができました。
泉質名 | 硫黄泉(掲示用泉質) |
---|---|
浴用適応症 | アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・慢性湿疹・表皮化膿症(硫化水素型 については末梢循環障害を加える) |
飲用適応症 | 糖尿病・高コレステロール血症 |
硫黄泉について
硫黄泉(硫黄温泉)とは?効能や人気おすすめ温泉宿4選

樽風呂で交互に半身浴&全身浴
さらに、寝る前にもう一っ風呂。檜風呂に行ってみると、大きな檜の浴槽が半露天の形で置いてあり、深めの浴槽の底は大きな岩が敷かれていて河原にいるような野趣を感じられます。
大きな浴槽なのに勢いよくお湯が溢れ出している姿は、湯量の豊富さを物語っています。こちらのお湯ははやや熱めなので、外の空気を浴びながら半身浴と全身浴を交互に繰り返してみました。こうして入ると、副交感神経が刺激されてよりリラックス効果を得やすくなるのだそうです。のぼせを防ぐこともできて一石二鳥ですね。

立派な檜風呂
昔ながらの湯治場スタイル
この温泉にはシャンプーとボディソープはありません。置いてあるのは石鹸だけ。昔ながらの湯治場スタイルを貫いています。
温泉にじっくり浸かっているだけで、かなり体の汚れは落ちてしまいます。ですから、温泉に入っていればゴシゴシと体を洗う必要は全くないのです。
肌の角質を落としすぎると、肌が身を守るために皮脂を多く分泌してしまい、かえってテカリの原因になってしまいます。
ともあれ、じっくりお湯に入っているだけで十分幸せな時間を過ごせることは間違いないでしょう。弱アルカリ性のこの温泉は、石鹸と同様に皮脂を落として肌をさっぱりさせてくれる力があります。
僕はしばらく出たり入ったりを繰り返しながら新鮮な温泉を楽しんで、部屋に戻ったらすぐに眠ることにしました。
正しい入浴法を知ろう
温泉好きなら必ず知っておいて欲しい!正しい入浴の方法【完全保存版】

部屋と食事にもう一度感動!
朝起きて、驚くべきことに気づきました。部屋が奥にもう一つあったのです。障子の向こうに洗面所、トイレ、広縁がありました。広縁に置かれたアームチェアに腰掛けると、川と森のいい景色を窓から眺められます。
湯治宿といえば六畳一間という固定観念があった僕には、この宿の部屋はあまりにも広くてびっくりしてしまいました。トイレ共同の宿も多い中で部屋ごとにトイレがあるというのは非常にありがたいことです。掃除が行き届いていて、タイル張りの古いトイレもまだまだ現役そうです。

懐かしい雰囲気の広縁

部屋からは川を眺められる
朝になったのでもう一っ風呂。九州といえど冬の朝は冷え込みます。しっかりとエアコンをつけて寝ましたが、体が冷えているので、まず温泉で体を温めることにしましょう。
夜と同じように貸切露天風呂と檜風呂の両方に入っていると、檜風呂には常連さんがいて新鮮なお湯で髪をすすぐなどして楽しんでいました。

木をふんだんに使った檜風呂の脱衣所
部屋に戻ると朝食がちょうど運ばれてきた直後でした。夕食も朝食も部屋食なので、一人の時間をゆったりと過ごせます。朝ごはんもこれまた豪華で、昨晩2回もご飯をおかわりしてしまった僕は、食べきれるか心配になってしまいます。ところがそれは全くの杞憂でした。炒り卵、納豆、焼き鮭、お浸しとご飯に合う美味しいおかずがずらりと並び、結局再びご飯のおかわりを2回してしまいました。

朝食もなかなか豪華
朝ご飯と一緒に運ばれてきた魔法瓶のお湯でお茶を淹れてみると、独特のミネラル分の味を感じました。そう、温泉水だったのです。
宿に着いた時には真っ暗で気づきませんでしたが、玄関先に飲泉用の湯口が設けられていて、温泉水を家に持ち帰る地元の人がよく来ているのだそうです。温泉水で淹れたお茶はまろやかでコクがあり、普通のお茶より好きな味でした。

温泉水で淹れたお茶
風情ある温泉街を散策
食休みしてからも、もう一度温泉へ。マイルドなお湯なので何度も浸かっても湯疲れしません。
せっかくだからと、チェックアウトの時間まで温泉街を散策してみることにしました。明るいところで見てみると、川に沿って趣のある旅館や家が立ち並ぶ姿はとても素敵です。
昨晩着いた時は全く気づきませんでした。夜通し降っていた雨も上がって、ひんやりとした冬の朝の空気はかすかにもやがかかり、山の上の方にかかった穏やかな太陽の光が山肌から立ちのぼる水蒸気をきらめかせていて、まるで水墨画の世界に来ているかのような気分になってきます。
山の一部には立派な棚田が広がっていて、もやの向こうに見える棚田は、まさに日本の原風景といった風情です。

湯の鶴は山に囲まれた温泉地だ
温泉街を歩いていて嬉しかったのは、すれ違った人がみんな「おはようございます」と声をかけてくれることです。よそから来た人にここまで気さくに接してくれる人が多い町は珍しいと思います。僕も笑顔で挨拶を返しているうちに、おだやかな気持ちになってきました。
1泊5,000円の奇跡!安さの秘訣は女将さんの優しさ?!
すっかり満足して戻ってくる頃にはだいぶ外も温かくなってきて、穏やかな晴れの日を迎えられたことをあらためて感じるのでした。チェックアウトは12時くらいらしいのですが、この後は水俣市街を見て回りたいので、10時過ぎのコミュニティバスに乗るためチェックアウトします。
外を歩いた汗を温泉でサッと流してから、女将さんにお会計を頼みます。
お値段はやっぱり5,000円。消費税・入湯税込みの値段です。
ビジネスホテルの素泊まりと変わらないような値段で、広い部屋に泊まって源泉かけ流しの温泉に好きなだけ入れて、美味しい食事がついてくるのです。本当に感動しました。おそらくここよりも安くていい宿は他に見つからないのではないのでしょうか。
女将さんに安さの秘訣を聞いてみると、「何回も来やすいようにずっとこの値段にしているんですよ」とのこと。僕は思わず再訪とこの記事の執筆を誓いました。「男性がお一人で来られるのも多いんですよ」と言われたのも納得。一人で寛ぐのにぴったりの宿で、土日を使って一泊すればすっかり元気になれるでしょう。お礼を伝えて宿をあとにします。

宿の前で飲泉ができる

雰囲気のいい足湯
バスを待つしばらくの間、宿の前にある足湯を写真に撮ったり、飲泉をしてみたり、たった1泊で帰ってしまうのが名残惜しくてギリギリまで楽しみました。焼酎の瓶をあしらった足湯も素敵な雰囲気です。
やってきたバスは地元の人達をどんどん乗せて、一気に山道を下って行きました。
「湯の鶴温泉 喜久屋旅館」の施設情報
施設名 | 湯の鶴温泉 喜久屋旅館 |
---|---|
住所 | 熊本県水俣市湯出1402 |
電話番号 | 0966-68-0211 |
営業時間 | 日帰り入浴:8時00分〜22時00分 チェックイン:14時 |
定休日 | 不定休 |
URL | http://www.minamata-hiyori.jp/minamatown/contents/kikuya/index2.htm |
料金 | 通常プラン:8,500円(2食つき)/湯治プラン:5,000円(3食つき) 日帰り入浴:200円 |
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