日本最高評価!世界遺産に湧く湯治場「島根県・温泉津温泉」で100年前にタイムスリップ

島根県・温泉津温泉

こんにちは。今まで1,500ヶ所以上の温泉をめぐってきた、温泉マニア・小松です。

私が温泉を選ぶ基準はズバリ、「お湯の良さ」。

施設の設備や食事も大切だと思いますが、どうしても温泉そのものの質や効能、お湯の使い方が気になってしまいます。

今回はそんな「お湯そのもの」を大切にしている温泉のひとつである、島根県の名湯「温泉津温泉」をご紹介します。

本記事で掲載している情報は公開当時のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

1300年の歴史を誇る名湯「温泉津温泉(ゆのつおんせん)」

島根県大田市に位置する「温泉津温泉」

「温泉津」と書いて「ゆのつ」と読み、開湯から1300年以上の歴史を誇り、江戸時代から山陰地方屈指の「湯治場」として栄えてきた名湯です。

まったく名前負けしない実力派の温泉地であり、その泉質はかなり上質です。

世界遺産「石見銀山」に湧く湯治場

そんな山陰の名湯「温泉津温泉」は、一帯を世界遺産に認定されている「石見銀山」エリア内に佇む温泉地。

つまり、世界遺産の中で入れる温泉なのです。

この世界遺産「石見銀山」は、戦国時代後期から江戸時代にかけて栄えた銀山。

最盛期には世界の約3分の1の銀を産出したともいわれる、当時の世界最大銀山です。

そこで入れる「温泉津温泉」は、その銀を積み出すための港の近くに位置し、銀山の労働者や住人を支える「湯治場」として発展してきた歴史があります。

湯治場と聞くと温泉以外なにもないイメージですが、温泉津温泉には、世界に誇る魅力的なスポットがすぐそばにあります。

完全かけ流し!2つの極上共同浴場

島根県・温泉津温泉

銀山を支える湯治場として栄えてきた温泉津温泉。

20軒弱の宿が軒を連ねるこじんまりとした温泉街には、2つの共同浴場があります。

現在でも、あえて館内に内湯を持たない宿が多く残り、宿泊客のほとんどはこの共同浴場を利用。共同浴場を中心とした温泉街は、昔ながらの湯治場的雰囲気を残しています。

もちろん、2軒とも「湯づかい」は最高。加水・加温・消毒・循環のない「完全かけ流し」です。

共同浴場その1: 絶妙に鄙びた温泉街のシンボル「元湯 泉薬湯」

それでは2つの共同浴場をご紹介します。

まずひとつめは「元湯 泉薬湯」。開湯時から湧き続ける源泉を引く、温泉津温泉のシンボル的な共同浴場です。

島根県・温泉津温泉

浴室は男女別の内湯のみ。

素朴で昔ながらの雰囲気を残す鄙びた空間は、江戸時代から時が止まったかのよう。

温泉成分でクリーム色にコーティングされた湯船には、薄緑のにごり湯が惜しげもなく注がれています。

2つに分かれた浴槽は、左側がぬるい湯で右側が熱い湯。ですが、ぬるい湯の方でも温度計は44℃を示し、熱い湯は47℃という驚愕の熱湯です。

それでもたっぷりかけ湯をすれば、ぬるい湯ならなんとか大丈夫。湯船にザブンと身を沈めれば、新鮮なかけ流しの極上湯に包まれる至福の時間。浴後は体の芯まで温まったことを実感できます。

「元湯 泉薬湯」の泉質

「元湯 泉薬湯」の泉質は、「ナトリウム–塩化物泉」。

鮮度が良すぎてツーンと鼻を抜ける鉄の香りがたまりません。

舐めてみると程よい塩気が美味。また、シュワっとする炭酸の味が心地よく、ハイボールのようなさわやかな飲み口です。

この源泉、終戦直後は隣県の広島で被爆した「原爆症患者」が湯治に訪れ、1950年代には、大学の研究でその効果が証明されるほど効能豊か。

浴室内に掲示されている効能表には、「原爆被爆障害」の文字があります。

そんな特殊な効能もありますが、今でも療養や健康維持のために「湯治客」が後を絶たちません。

「元湯 泉薬湯」の施設情報

施設名元湯 泉薬湯
住所島根県大田市温泉津町温泉津口208−1
電話番号0855−65−2052
URLhttp://www.yunotsu.jp/
泉質ナトリウム-塩化物泉(低張性 中性 高温泉)
泉温48.8℃
pH6.6
湧出状況自噴
湧出量50ℓ/分
加水なし
加温なし
消毒なし
かけ流し完全かけ流し

共同浴場その2: オール5の日本最高評価「震湯 薬師湯」

「元湯 泉薬湯」の斜め向かいに位置するのが、もうひとつの共同浴場「震湯 薬師湯」。大正ロマンを想わせるの洋風レトロな外観が素敵です。

「元湯 泉薬湯」の至近距離にありますが、お湯は別源泉を使用。1872年に発生した大地震の際に湧出したという、新しい源泉です。

「地震の後に生まれた新しいお湯」ということで、「震湯(新湯)」と呼ばれています。

 

島根県・温泉津温泉
こちらも男女別の内湯のみ。

浴室の中心に楕円形の湯船がひとつ。こちらも薄緑のにごり湯がザーザーとかけ流しになっています。

長い年月をかけ、湯の華が浴槽のフチから床にかけてコッテリとへばり付き、ゴツゴツとした様は芸術作品のような美しさ。源泉の凄まじいパワーを感じます。

「震湯 薬師湯」の泉質

泉質は「ナトリウム・カルシウム–塩化物泉」。

「元湯 泉薬湯」よりも成分的には濃厚で、こちらも新鮮な鉄の香りが漂い、アロマテラピーのようでした。

また、「震湯 薬師湯」は日本温泉協会から、最高評価の「オール5」に認定されている数少ない施設。

山陰地方では唯一らしく、雰囲気だけでなく、名実ともに極上の温泉を堪能することができます。

2つの共同浴場とも内湯のみで、湯船もこじんまりとしたもの。温泉の質を大切にしているからこそ、湯量に合わせたサイズを維持しています。

あえて巨大な湯船や露天風呂をつくったりしないところに、お湯に対するこだわりを感じます。

また、どちらも常備されている石けんやシャンプーはなく、「元湯 泉薬湯」はシャワー等の設備もありません。

だからこそ、お湯そのもののチカラを体感できる、現在に残る貴重な湯治場といえるでしょう。

「震湯 薬師湯」の施設情報

施設名震湯 薬師湯
住所島根県大田市温泉津町温泉津口70
電話番号0855−65−4894
URLhttp://www.yunotsu.com/
泉質ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(等張性 中性 高温泉)
泉温45.8℃
pH6.0
湧出状況自然湧出
湧出量−ℓ/分
加水なし
加温なし
消毒なし
かけ流し完全かけ流し―

昔ながらの風情が残る街並みも、湯治の大事な要素

木造の日本家屋がたち並ぶ温泉街は、昔ながらの風情が残り、100年前にタイムスリップしたかのよう。浴衣に下駄で、カランカランと歩くのが似合う素朴な雰囲気です。

また、この地域特有の「石州瓦」を使用した赤い屋根の街並みは、「島根のフィレンツェ」とも呼ばれる美しい風景。そこはまるで映画の世界に飛び込んだかのようなどこか懐かしい空間が広がっています。

島根県・温泉津温泉

温泉街の散策や、常連さん、地元の方々との楽しい会話も湯治の一要素。「湯治場」には身体だけでなく、心まで癒してくれる不思議な魅力があります。

東京や大阪などの大都市圏からのアクセスはあまり良くありませんが、少々行きづらいのは旅の良いスパイス。そんな「転地効果」も湯治の必須項目です。

昔ながらの風情と温泉のパワーを感じに、たまにはゆっくりと遠出してみませんか。

効能豊かな温泉で湯治体験をしよう

温泉王子・小松歩の温泉コラム