和歌山県田辺市の「湯の峰温泉」は、世界遺産の熊野古道に築かれた日本最古の温泉地。
熊野本宮大社や熊野那智大社に通じる中辺路の要衝として、古くから参詣者たちを迎え入れてきました。
最大のスポットは「つぼ湯」。温泉そのものが世界遺産に登録され、日本で唯一「世界遺産」の温泉を楽しめます。
目次
湯の峰温泉の歴史と特徴

日本最古の歴史を刻む「湯の峰温泉」。起源はおよそ1800年前、熊野の地を治めていた大阿刀足尼によって温泉が発見されたと伝えられています。
湯の峰温泉が歴史の表舞台に登場するのは平安時代になってから。熊野本宮大社を参詣した公家たちが、日記に湯の峰温泉について書き記して以降、熊野詣の折に湯の峰温泉を訪れる高僧や上皇が増えていきました。
2004年「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されると、湯の峰温泉の知名度は俄然高まります。熊野参詣道の一資産に含まれる「つぼ湯」は、湯の峰温泉とともに、その名が世界的に知られるようになりました。
温泉街は熊野街道沿いにあり、現在、熊野本宮観光協会の公式サイトに掲載されている宿の数は13軒。炭酸水素塩泉の源泉が湧き出ています。
湯の峰温泉が人気の3つの理由!
理由1:世界遺産の温泉に浸かれます

湯の峰温泉の最大の魅力は世界遺産に登録されている温泉に浸かれること。このような体験ができるのは、日本のみならず世界でも湯の峰温泉の「つぼ湯」だけ。温泉街の小川沿いにある岩風呂で、30分交替で入浴できます。
つぼ湯は1度に3人が浸かれるほどの大きさで、温泉情緒が感じられる古風な造り。1日を通して微妙にお湯の色が変化することから「七色の湯」とも呼ばれ、話題を呼んでいます。つぼ湯を利用する際には、公衆浴場で整理券を受け取る必要があります。入浴料金は大人770円、小人470円、営業時間は6時~21時30分です。
「つぼ湯」の施設情報
施設名 | つぼ湯 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯の峰110 |
電話番号 | 0735-42-0074(湯の峰温泉公衆浴場) |
URL | http://www.hongu.jp/onsen/yunomine/tuboyu/ |
理由2: 熊野古道を歩けます

一口に熊野古道といっても、その参詣道は紀伊路、小辺路、中辺路、大辺路、伊勢路などさまざま。湯の峰温泉へのルートは田辺と熊野山をつなぐ中辺路で、熊野本宮大社へつながります。
湯の峰温泉から熊野本宮大社までの道のりはおよそ3.4キロメートル。鼻欠地蔵・月見ヶ丘神社・大日越・大斎原などを訪ねながら進むルート。アップダウンが険しい難所があるので、踏破するにはそれ相応の覚悟と脚ごしらえが必要です。
理由3 :温泉卵が作れます
温泉卵が作れるのも湯の峰温泉の観光イベント。川沿いには温泉卵用の湯筒があり、ネットに入れて卵や野菜を茹でられます。
湯筒は90度の温泉が湧き、半熟の温泉卵を茹で上げる目安は約9分。卵やサツマイモなど、茹でる材料は温泉街の売店で販売されています。温泉卵はお土産にもぴったり。帰り際に卵を茹でて持ち帰る人も多く見られます。
おすすめ温泉宿3選
温泉宿は旅館4、民宿8、ゲストハウス1という全13軒。その多くが熊野街道沿いのエリアに集まっています。
TOP1 :江戸時代創業の老舗旅館「あづまや」
「あづまや」は江戸時代に創業した老舗の温泉旅館。宿泊棟は、昭和前期に建造された純和風の建築様式をそのままとどめています。
客室は22室ですべて和室。複数ある特別室は二間に内風呂付きという間取り。皇族の方が宿泊された部屋も現存しています。
泉質は「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉」でpH7/6、源泉の温度は95.2度。関節痛 慢性消化器病などに効果があります。内湯と露天風呂は源泉かけ流しで、内湯は天井に太い梁をめぐらせた古風な趣。露天風呂には、専門家の設計による美しい日本庭園を設えられています。
「旅館あづまや」の施設情報
施設名 | 旅館あづまや |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯122 |
電話番号 | 0735-42-0012 |
URL | http://adumaya.co.jp/ |
TOP2:女性に人気の“美肌の湯”「 伊せや」
湯治場として創業した「伊せや」は、広々とした温泉浴場でくつろげる旅館。14室ある客室は新館と旧館の2棟に分かれ、いずれの客室も趣深い閑寂な装い。無駄のないすっきりとした内装で、落ち着いた気分で静かに過ごせます。
泉質は「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉」で、角質を取り除きメラニン色素を分解する美肌の湯。男湯は内湯、女湯は内湯と露天風呂で、露天風呂には、大きな岩と竹垣を配した和の演出。もちろんどの浴槽も源泉かけ流しで、お湯に漂う湯の花が、温泉情緒を高めてくれます。
「伊せや」の施設情報
施設名 | 伊せや |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯102 |
電話番号 | 0735-42-1126 |
URL | http://www.yunomine-iseya.com/pc/ |
TOP3:温泉旅館らしい娯楽施設がある「湯の峯荘」
「湯の峯荘」は、温泉旅館ならではの娯楽施設を備えた宿。卓球・ミニビリヤード・カラオケなどグループで楽しく過ごせます。
源泉は「炭酸水素塩泉」の100%天然温泉。共有の温泉浴場は男女別に分かれた内湯と露天風呂。さらに内湯の貸切り家族風呂が2カ所あり、無料で利用できます。
湯の峯ではバラエティに富んだ食事も注目。熊野の食材をふんだんに使った和食膳で、高級ブランド肉「美熊野牛」が味わえます。
「湯の峯荘」の施設情報
施設名 | 湯の峯荘 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町下湯川437 |
電話番号 | 0735-42-1111 |
URL | http://www.yunominesou.com/ |
おすすめ観光スポット3選
湯の峰温泉は歓楽地ではなく、純粋に歴史ある温泉を楽しむところ。温泉街はコンパクトにまとまっていすが、思いがけないところに湯の峰温泉の歴史を物語る石碑が建っています。
TOP1:2000年の歴史を刻む古社「熊野本宮大社」

「熊野本宮大社」は、熊野速玉大社や熊野那智大社とももに「熊野三山」の一角をなす由緒ある古社。その歴史は古事記や日本書紀で語られるほど古く、創建は2000年前にまで遡ると伝えられています。
檜皮葺きの御社殿は風格ある荘厳な装い。境内にある宝物殿には、三角縁神獣鏡・紺紙金泥経・熊野本宮八葉曼荼羅など、貴重な歴史的資料の数々が展示されています。
熊野本宮大社では、あちこちで目にできる八咫烏(やたがらす)にも注目。日本サッカー協会のエンブレムに採用されている伝説の三つ足の烏で、熊野三山に縁がある神聖な鳥として知られています。
中辺路を歩くと、湯の峰温泉から熊野本宮大社まで約90分の道のり。車で熊野街道を経由すれば、12分でアクセスできます。
「熊野本宮大社」の施設情報
施設名 | 熊野本宮大社 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町本宮 |
電話番号 | 0735-42-0009 |
URL | http://www.hongutaisha.jp/ |
TOP2:熊野古道にチャレンジ!「湯峰王子」
湯の峰温泉と熊野本宮大社を結ぶ中辺路は険しい山道が続くルート。しかし、せっかく湯の峰温泉に滞在するなら、熊野古道を歩いてみたいという人もいるでしょう。
「湯峰王子」はそう思っている人におすすめ。温泉街から約200メートルのところにあり、熊野古道の雰囲気を満喫できます。余力があれば、さらに900メートル先にある「鼻欠地蔵」を目指しましょう。登りが続き、鼻欠地蔵があるのは標高300メートル地点。中辺路でもっとも高いところで、山越えの達成感も得られます。
「湯峰王子」の施設情報
施設名 | 湯峰王子 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯161 |
電話番号 | – |
URL | – |
TOP3:湯ノ峰温泉の起源を物語る史跡「大阿刀足尼の碑」

湯の峰温泉がある田辺市は、かつて熊野国造が敷かれていたところ。先に紹介した、統治者・大阿刀足尼が温泉を発見したことによって、湯の峰温泉の歴史が始まったと伝えられています。
温泉街にある「大阿刀足尼の碑」は、湯の峰温泉の起源を物語る史跡。むき出しになった岩石の上に置かれ、岩を削って造られた石段は途中で途絶えています。あとは、手すりを使ってひたすら登っていくだけ。何ともユニークで不思議な光景が目にできます。
何気なく歩いていると見落としそうなスポットですが、湯の峰温泉の歴史に関心がある人はぜひ訪ねてみてください。
「大阿刀足尼の碑」の施設情報
施設名 | 大阿刀足尼の碑 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯 |
電話番号 | – |
URL | – |
おすすめグルメスポット3選
湯の峰温泉にある飲食店は、売店を兼ねた食堂と茶屋の2軒。外食を楽しみたい人は熊野本宮大社の近くのお店を利用するといいでしょう。
TOP1:めはり寿司など郷土料理が味わえる「湯胸茶屋」
温泉街にある東光寺に接して建つ「湯胸茶屋」は、ご当地名物「めはり寿司」が味わえる小さな食事処。めはり寿司は高菜の漬物でおにぎりを包んだ料理。湯の峰温泉を含む熊野地方や奈良県南部の吉野地方などの郷土料理です。
めはり寿司の他、そばやうどんがあり、どちらも田舎風のやさしい味わい。甘味処としても人気があり、ぜんざいや温泉コーヒーを目当てに訪れる観光客も多く見られます。
「湯胸茶屋」の施設情報
施設名 | 湯胸茶屋 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯 |
電話番号 | 0735-42-0256 |
URL | http://www.hongu.jp/eat-shopping/eat/ |
TOP2:地元で評判の熟成ロースかつ定食「しもじ本宮店」
「しもじ本宮店」は、熊野本宮大社の周辺で本格的な食事が楽しめるレストラン。メニューは和食が中心で、熊野地方の名物食材を生かした料理が味わえます。1番人気は「熟成ロースかつ定食」。ジューシーな紀州岩清水豚は旨味が凝縮されたもちもちの食感で、サクサクの衣とのバランスも絶妙です。
同じ紀州岩清水豚なら「ひれかつ定食」もおすすめ。熊野牛を使ったメニューも大好評で、熊野牛すき焼き定食にはうどんも付いています。営業時間は9時~16時で定休日は水曜日。繁忙期は営業時間が変更になる場合があるので事前確認を忘れずに。
「しもじ本宮店」の施設情報
施設名 | しもじ本宮店 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町本宮285 |
電話番号 | 0735-42-0312 |
URL | http://www2.w-shokokai.or.jp/hongu/simoji/ |
TOP3:和食に飽きたらエスニック「B&B Cafe ほんぐう」
和食以外が食べたくなったら、熊野本宮大社の入口近くにある「B&B Cafe ほんぐう」へ行ってみましょう。1階がカフェ、2階が宿泊スペースというお店で、美味しいエスニック料理がいただけます。
ランチのメインはカレーやガパオなど。カレーはチキンカレーやグリーンカレーが好評。タイ料理のガパオも根強い人気があります。パスタなどカフェの定番ランチもおすすめ。休憩でも立ち寄っておきたいお店で、スイーツやマフィンも用意されています。営業時間は11時30分~19時30分。季節により定休日が変更されるので、事前に要確認です。
「B&B Cafe ほんぐう」の施設情報
施設名 | B&B Cafe ほんぐう |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町本宮127-2 |
電話番号 | 0735-42-1130 |
URL | http://www.kumano-experience.com/WP2017/cafe/ |
おすすめお土産3選
温泉街でお土産が買えるのは、食堂を兼ねた売店や温泉宿の売店。湯の峰温泉のみならず、紀州全体のお土産がそろっています。
TOP1 :いまや紀州土産の定番「熊野サイダー」
「熊野サイダー」は、紀州名物として定着したお土産。ご当地感満点で、ボトルのラベルには熊野本宮大社に縁がある八咫烏(やたがらす)のイラストが描かれています。
熊野サイダーは、うめとみかんの風味がほんのりと香るフレッシュな味。同じサイダーのシリーズでは、しそサイダーやじゃばらサイダーも人気。3種類を飲み比べてみたいなら、特製の箱に入った3本セットをおすすめします。
施設名 | 湯の峰温泉 売店・食堂 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯110 |
電話番号 | 0735-42-1081 |
URL | http://www.hongu.jp/eat-shopping/eat/ |
お土産TOP2:熊野三山の限定販売「熊野もうで餅(珍重庵)」
「珍重庵」は新宮市に本店を構える和菓子店。熊野本宮大社御用達の名店として知られ、「熊野もうで餅」は参詣の際にぜひ手に入れておきたいお土産です。
こしあんを包んだお餅に玄米粉をまぶした素朴なお菓子。珍重庵は新宮市を中心に那智や田辺にお店がありますが、「熊野もうで餅」は本宮店、那智山店、熊野速玉大社境内(熊野三山)での限定販売です。
施設名 | 珍重庵 本宮店(熊野本宮大社前 瑞鳳殿内) |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町本宮1110 |
電話番号 | 0735-42-1648 |
URL | https://chinchoan.com/shop-list/hongu/ |
TOP3:古代米使用のご当地麦酒「熊野古道麥酒」
お酒好きにおすすめしいのは「熊野古道麥酒」。伊勢に本社と直売所がある伊勢角屋麦酒のブランドビールで、湯の峰温泉を含む紀伊一帯で広く販売されています。
熊野古道麥酒の特徴は、独特のコクを生み出す良質なホップと原料に古代米が使われていること。アンバーエールの風味が魅力で、グラスに注いで色合いを楽しみながら味わいたいビールです。
施設名 | 湯の峰温泉 売店・食堂 |
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住所 | 和歌山県田辺市本宮町湯峯110 |
電話番号 | 0735-42-1081 |
URL | http://www.hongu.jp/eat-shopping/eat/ |
世界遺産のつぼ湯に浸かれる湯の峰温泉

湯の峰温泉の魅力は、世界遺産のつぼ湯に浸かれること。くわえて、開湯1800年という日本最古の歴史も、湯の峰温泉に高い格式を添えている一因。熊野古道の中辺路に開かれた温泉地だけあり、温泉街には神聖ともいえる空気が漂っています。
参詣道を歩いて熊野本宮大社を訪れれば、湯の峰温泉の醍醐味をよりいっそう満喫できるでしょう。
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