栃木県日光市にある「足尾銅山」を、歴史の教科書で見て知っているという人は多いと思います。公害を引き起こした過去がある一方で、現在はトロッコ電車に乗れて銅の発掘についても学べる観光スポットとして人気になっているんです。
本記事では、「足尾銅山」の歴史から現在の楽しみ方までご紹介。温泉地も近いので栃木旅行の行動プランのひとつに組み込んでみては?
目次
足尾銅山の概要と歴史
足尾銅山とは

足尾銅山は、栃木県日光市足尾に存在していた銅鉱山のこと。最盛期には30~40万貫の銅を産出し、日本の経済を支えました。この銅山が問題で生じた日本初の公害事件「足尾銅山鉱毒事件」と、それの解決に人生をささげた人物・田中正造に関しては歴史の授業でも取り上げられていて、ご存知の方は多いと思います。
足尾銅山の歴史
1610年(慶長15年)に発見され、江戸幕府直営の銅山として銅の発掘を開始。それから一時休山しながらも、360年間と長きにわたって運営されました。
1887年(明治20年)には全国の銅生産の40%を占める日本一の銅山になりましたが、1896年(明治29年)頃から鉱毒の問題が表面化。最終的に1973年(昭和48年)に閉山となりました。
日本初の公害問題「足尾銅山鉱毒事件」と田中正造
「足尾銅山鉱毒事件」とは
足尾銅山を語るうえで欠かせない出来事として、明治20年代から40年代と長きにわたって問題となった「足尾銅山鉱毒事件」があります。
足尾銅山から流出した鉱毒が渡良瀬川流域の農地を汚染したことで、川の下流に住む農民の健康や農作物への被害をもたらしたほか、川に住む魚も死滅。農民が結束して請願・反対運動を展開して警察と衝突するなど、大きな社会問題となった事件です。「日本初の公害事件」ともいわれています。
天皇に足尾銅山の公害を直訴した政治家・田中正造
画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tanaka_Shozo.jpg
鉱毒による被害を解決するために死力を尽くした人物といえば、政治家の田中正造。国会で被害の実情を訴えたり、各地で演説を行ったりして、問題提起した「足尾銅山鉱毒事件」のキーパーソンです。
しかし、真摯な訴えむもなしく、政府は被害の原因が鉱毒によるものか定かではないとして取り合いませんでした。それでもあきらめずに国会で訴え続けた田中正造ですが、思いは通じず、議員を辞めて明治天皇への直訴へと行動を移します。
1901年(明治34年)12月の国会開会式の日、羽織はかまの正装で被害の実情を書いた直訴状を手にしながら、彼は明治天皇の乗る馬車へと駆け寄りましたが、すぐさま周囲にいた警官に取り押さえられてしまいました。しかし、この出来事がきっかけとなって、ついに政府は鉱毒調査会を作るに至ったのです。
その後も紆余曲折ありましたが、1973年(昭和48年)に、足尾銅山は閉山を迎えることとなりました。
トロッコや廃墟が人気に!現在の足尾銅山
坑内へはトロッコ電車で移動!
現在、足尾銅山は一部が「足尾銅山観光」という名の観光スポットとなっていて人気です。趣のあるトロッコ電車に揺られて坑内へ向かい、途中で電車から降りて徒歩で全長700mほどの見学コースを移動していきます。
解説用の看板や鉱山で働く人々の人形があって、楽しみながら足尾銅山について学べるのが特徴。歴史好きの方にとっては興味深い内容といえるのではないでしょうか。また、坑内はひんやりとしていて、夏にぴったりのスポットですよ。
廃墟マニアの間でも人気に
現在の足尾銅山は廃墟が見られるスポットとしても有名です。かつて鉱石を運ぶ貨物列車が走っていた線路や、古すぎてさびてしまった建物などがいまなお残っており、神秘的な印象を与えます。廃墟マニアは必見ですよ!
足尾銅山の観光所要時間

先に紹介した坑内の見学だけであれば1時間程度で観光できます。坑内のほかに廃墟を見たいのであれば、それ以上の時間が必要になることを覚えておきましょう。
足尾銅山の料金・営業時間・アクセス情報
足尾銅山の料金と営業時間
足尾銅山の見学コースの料金は、大人820円、小・中学生410円。
営業時間は9:00~16:30で、定休日はありません。
足尾銅山へのアクセス情報
【電車・バス】
・JR「日光駅」または「東武日光駅」から市営バスで約50分
・わたらせ渓谷鐵道「通洞駅」より徒歩約5分
【車】
・北関東道伊勢崎ICから国道122号経由で1時間15分
・日光・宇都宮有料道路清滝ICから30分
施設名 | 足尾銅山 |
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住所 | 栃木県日光市足尾町通洞9−2 |
電話番号 | 0288-93-3240 |
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