渋温泉金具屋の貸切風呂と大浴場 全8ヵ所完全制覇!源泉かけ流し【宿泊レポート】

「千と千尋の神隠し」のモデルともいわれる、長野県・渋温泉の「歴史の宿 金具屋」。

木造4階建ての建築が有名ですが、お風呂も素晴らしいです。館内には2つの大浴場と1つの露天風呂、そして5つの貸切風呂があります。

どれも源泉かけ流しで、泉質は4種類。しかもお部屋と同様に建築にも工夫がこらされ、同じ風呂が一つとしてありません。

温泉好きなら、完全制覇を目指したくなります。1泊2日ですべてのお風呂に入った記録を紹介します。

大浴場その1:鎌倉風呂

館内2ヵ所の大浴場「鎌倉風呂」「浪漫風呂」は、男女が日ごとに交代となります。私が泊まった日は、1日目は鎌倉風呂が男性、浪漫風呂が女性用となっていました。

外湯めぐりを終えて、夜10時くらいに鎌倉風呂へ。ふつうは外壁に使うなまこ壁を内壁に使うなど、型破りな建築が随所にみられるのも金具屋の面白いところ。ホテルとして建てられたので、はじめから観光客を楽しませるための遊び心がちりばめられています。

館内の随所にみられる歯車は、ホテル建設にあたって取り壊した本物の水車を、壁や床に埋め込んだのだそう。100年経った今でもスタイリッシュに感じます。

浴場の撮影は「斉月の湯」を除いて禁止されています。今回は特別な許可をいただき、他のお客様がいないときに撮影しました。

鎌倉風呂は、鎌倉幕府をひらいた源頼朝が渋温泉を訪れたことにちなんだ浴場。登録有形文化財に指定されている「斉月楼(ライトアップが有名な建物)」や「大広間」と同時期の建築で、1977年に再建されたそう。

笹濁りの静かな湯面と、金属成分がついて赤茶けた床の色合いが美しく、入った瞬間「おぉぉぉぉ・・・」と声がもれてしまいました。

こちらは共同源泉を引いており、一・二・三番湯と同様「荒井河原の湯」「寺の湯」の混合泉。ぬるめのお湯がじんわりと心地よく、天井が高くて開放感もバツグンです。

「鎌倉風呂」の源泉・泉質情報

源泉名 地獄谷荒井河原の湯と寺の湯の混合泉
泉質 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
循環の有無 源泉かけ流し

大浴場その2:浪漫風呂

奥にあるのが浪漫風呂。私が泊まった日は二日目が男性用だったので、早起きして行ってみました。

白と黒のタイル張りの洗面台に目をひかれつつ、摺りガラスの扉を開けて中へ。

ステンドグラスがあしらわれた浪漫風呂は、1950年の完成。「ローマ」をテーマにしながら、ガッツリ着物を着た少女が描かれているのが昭和レトロ感満載で、味があります。今ではすっかりお目にかかれないガラスたちに、心躍ります。

金気色をおびた湯面はステンドグラスから差し込む光に照らされ、淡く濁っています。中央のローマ風噴水は今は使われていませんが、カルシウム分が析出して時間の重みを感じます。

鎌倉風呂のひょうたん型の湯舟も、浪漫風呂の楕円形の湯舟と噴水風の湯口も、いずれも各地の温泉でみられます。大正から昭和初期にかけての流行かもしれません。それにしても、館内すべてがこんな感じの昭和レトロであふれているので、テンションが上がってしまいます。

浪漫風呂の源泉は、自家源泉の「金具屋別荘」。自然湧出の温泉を大切に使っており、お風呂はじっくりつかれるぬるめになっていました。鉄分が多く、キシキシした感じですが、意外にもまろやかな手ざわりです。

浪漫風呂の洗い場は、実はお風呂と異なる源泉を引いているのだそう。「潜龍荘」の客室のお風呂と同じ、金具屋第3ボーリングです。

「浪漫風呂」の源泉・泉質情報

源泉名 金具屋別荘
泉質 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
循環の有無 源泉かけ流し

「浪漫風呂(洗い場)」の源泉・泉質情報

源泉名 金具屋第3ボーリング
泉質 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
循環の有無 源泉かけ流し

露天風呂「龍瑞の湯」

朝ごはんを食べ終えて、露天風呂に行ってみました。「龍瑞の湯」は3階で、温泉街を見渡す高さにあります。

標高700mほどの渋温泉は、朝はひんやりと涼しく、風を浴びながらの朝風呂が最高です。広い湯舟なのに端から端まであたたかくて、源泉かけ流しでこれだけの温度を保つのは湯量の豊富さを感じます。

こちらの源泉は、貸切風呂と同じ「金具屋第1・第2ボーリング」。ほんのり硫黄の香りがする塩化物泉で、まろやかでよくあたたまります。

「龍瑞の湯」「貸切風呂」の源泉・泉質情報

源泉名 金具屋第1・第2ボーリング(混合泉)
泉質 含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
循環の有無 源泉かけ流し

貸切風呂その1「斎月の湯」

帳場から最も近いところにあるのが、「斎月の湯(さいげつのゆ)」。今では滅多にお目にかかれない丸いタイルに、富士山のモザイク画が映えます。

小舟の形をした木の湯舟が壁の絵と一体化して、浮世絵の世界に漕ぎ出したかのような気分になります。

こちらは2018年にリニューアルしたそうで、当面の間撮影OK。「入舟の湯」と呼ばれていたときの雰囲気を残して、良い意味で「新しさ」を感じさせず、歴史ある建築にマッチしています。

なお、貸切風呂の源泉はすべて「金具屋第1・第2ボーリング」です。客室の洗面台も、お湯をひねるとこの源泉が出てくるのだそう。湯量豊富な自家源泉のなせる贅沢です。
※斎月の湯は、金具屋第3ボーリングも混ぜています。

貸切風呂その2:岩窟の湯

岩窟の湯は、「潜龍荘」にある唯一の貸切風呂。斎月の湯と合わせて人気が高く、何度かチャレンジしてようやく入れました。

大きな岩に四方を囲まれ、洞窟の中にいるような気分を味わえます。天井が高く、換気もしっかりしているため、息苦しい感じがまったくなくプライベートな感覚を楽しめます。

貸切風呂その3:美妙の湯

「斉月楼」は2階から4階まで、各階に貸切風呂があります。金具屋の貸切風呂は、予約不要で空いていれば好きなときに入れるしくみ。内鍵をかけて利用します。階段を上り下りしながら、空いているお風呂を見つけたらラッキーです。

「美妙の湯」は、大きな樽の形をした湯舟と、岩と小石のコントラストが面白い床が特徴です。

貸し切り風呂その4:恵和の湯

恵和の湯は、湯舟も壁も浅間山の火山岩で作られています。お湯の出る湯口がびっしりとカルシウムの析出物で覆われ、意外にもすべりにくくなっています。

温度の高い源泉をそのまま注いでいるので、蛇口のほんのちょっとしたひねり具合で温度が変わってしまいます。熱ければ水を足し、ぬるければ源泉を多めに出して調整しますが、出るときにはもとに戻しましょう。

貸切風呂その5:子安の湯

最後にご紹介するお風呂は、子安の湯。岩の壁に木の湯舟で、洗い場のスペースが広いので子ども連れにおすすめです。

渋温泉「歴史の宿 金具屋」の詳細情報

施設名 渋温泉「歴史の宿 金具屋」
住所 長野県下高井郡山ノ内町平穏2202
電話番号 0269-33-3131
利用料金 1泊2食付15,400円~
※料金は、人数・部屋・宿泊日・食事内容などによって異なります。詳しくは公式HPや予約サイトなどをご確認ください。
アクセス 長野電鉄「湯田中駅」から送迎バス(要予約)
上信越自動車道「中野IC」から車で約20分
※駐車場は宿から離れています。駐車場との往復は、送迎車が出ています。
URL http://www.kanaguya.com/map.html

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