舟盛りにお頭つきの金目鯛、塩焼きに唐揚げ……。テーブルにずらりと並んだ魚料理。10,800円~とは思えない贅沢なお料理に心もお腹も満たされました。
東京から200km、西伊豆・雲見温泉の「食べる温泉宿 大漁」は、新鮮な魚料理と源泉かけ流しの温泉が自慢の民宿。
美味しいお魚をいただくには冬がおすすめです。
目次
金目鯛&舟盛りetc. 気分はまるで竜宮城!豪勢な魚料理に心躍る

食事処に入って目に飛び込んできたのは、たくさんのお魚。真ん中の大きな舟盛りに加えて、金目鯛の煮つけ、カマスの塩焼き、地魚の唐揚げ。たくさんの魚料理に目移りしてしまいます。
食事処は個室になっていて、静かにゆったりとお料理をいただけます。

透き通った海が目の前に広がる雲見温泉。地元でとれた新鮮な魚をたくさん食べてもらいたいと、金目鯛以外は日替わりです。
カマスの塩焼きはふわりとほぐれて上品なうま味が広がります。
地魚の唐揚げ(名前を忘れてしまいました)はカリッとした衣に負けないコクのある身がついてきて、頭から骨ごといただきました。命を頂く尊さを感じ、漁師さんや板さんへの感謝の念も抱きました。
手作りのさつま揚げは、ぷるんとした食感に魚のうま味がこれでもかと詰まっていて、生姜醤油に負けない力強さと優しさを併せ持っています。ふだん食べているのと全然違う!
そして忘れてはいけないのが、名脇役の野菜料理たち。
ほうれん草のおひたしは爽やかな塩味で、それだけでも、ご飯に合わせても美味しいです。自家製のゆず味噌でいただくふろふき大根は柚子の香りが素晴らしく箸休めにぴったり。茶碗蒸しはカツオ出汁と甘みのバランスが素晴らしく、うっかり食べ忘れることなく頂けてほっとしました。
立派な金目鯛の煮つけは、どこを食べても美味い!

宿の名物であり、伊豆の特産品でもある金目鯛。他のお魚料理を堪能して、あらためて近くに寄せてみると、30cmほどの身がのったお皿はずっしりとしています。
箸を入れると、ゼラチン質のむっちりした鮮やかな皮の下に、煮汁がしみて琥珀色になった身が広がっています。オンザライスでワシワシかきこみましたが、煮汁が濃すぎず魚のコクを引き出し、そのままでも美味しくいただけます。
プルンとした目玉の周りや柔らかいほほ肉、弾力があるカマの周りも頂きます。魚の形をした骨「鯛の鯛」も見つけ、気づけばヒレと骨だけが残りました。身離れの良さも新鮮さの証しです。
思わず無言で本気食い。本当に美味しいものを前にすると言葉が出なくなるのを実感しました。
※金目鯛の煮つけはグループで1匹ですが、この日はサービスで1人1匹つけてもらいました。
3種のお刺身を舟盛りでたらふく頂きました。

テーブルの真ん中に鎮座する大きな舟盛り。3人で頂きましたが、20人くらいの大宴会用ではないかと思うほどのサイズです。
3種のお魚が並び、真ん中にはメダイが飾られています。黒々と輝く外見からは想像のつかない、赤と白が鮮やかな身をわさび醤油につけていただきます。コリコリとした歯ごたえで、噛めば噛むほど広がるうま味。
タイと言っても、マダイから金目鯛、さらにはメダイまで、それぞれの個性があることを実感します。
醤油は最低限でチョンチョンとつけて食べる僕ですが、醤油を継ぎ足すのは想定外。こんなにたくさん刺身を食べたのは本当に久しぶりです。
満腹感に追いつかれる前に、怒涛の勢いで魚料理を食べつくしましたが、気づけば1時間は過ぎていました。
どれをとっても美味しく、新鮮さと料理の腕に驚きました。一緒に食べた友達に「どれが美味しかった?」と聞いてみましたが、甲乙つけがたく「う~ん」とうなってしまいます。「どれも美味しかったね」「本当に美味しかったね」と言い合いながら夜が更けていきました。
源泉かけ流しの温泉は雲見温泉イチの湯量

「食べる温泉宿 大漁」のもう一つの自慢が温泉。雲見温泉の民宿としては最大の湯量を誇り、源泉かけ流しで楽しめます。
15時過ぎには宿に着き、ゆったりと温泉を楽しみました。

内風呂はやや熱めの42℃。冬の運転で冷えた身体がほぐれていきます。
泉質は海沿いの温泉らしく塩化物泉。カルシウムも多く、ギュッギュッとした手ざわりです。塩分が肌を包み込み、湯上がりはポカポカします。ペタペタと肌に残り、スベスベになった感じがしました。

洗い場は3人分。夏季を除き、平日はグループで貸し切れます。家族や友達と訪れてもちょうどよい広さです。

露天風呂は、この日は40℃ほど。ややぬるめの丁度良い湯加減ですが、5分もつかっていると額に汗が浮かびお湯の濃さを感じます。冷たい冬の空気に上半身をさらし、身体が冷えてきたら全身湯につかるのを繰り返し、ぼんやりゆったりと過ごしました。
選べる浴衣がうれしい

浴衣は一人一枚、好きな大きさ・柄を自由に選べます。性別に関係なく、その日の気分でデザインを選べるのがうれしいポイントです。
黄緑色の浴衣を選び、読みたかった本を片手に食堂に向かいます。
食堂ではコーヒーが飲み放題。絵にも注目

食事の時間まで、食堂はラウンジとして自由に使えます。立派な板でつくられたテーブルは木のぬくもりを感じます。

ポットとインスタントコーヒーが置かれていて、自由にコーヒーをいただけます。
コーヒーカップは白の陶磁器と、アウトドアスタイルの保温カップ、そして素朴な焼き物の3種類。浴衣やコーヒーカップといったちょっとした選択が、楽しい時間のアクセントになります。

あったかいコーヒーにほっと一息。本を読んでいるといつの間にか外が暗くなってきました。冬の日は短く、日が暮れる前に着いてよかったと実感します。

食堂の壁にはぐるりと魚の絵が飾られています。廊下には海の絵が飾られ、まるで美術館のようです。
中国やベトナムの港町のような絵を思わずパチリ。宿のご主人に聞いてみると、お父さんの常連さんが寄贈したものだそう。
素敵な絵を眺めているだけでも非日常な気分で、海が荒れている日でも楽しく過ごせそうです。
朝ごはんには自家製アジの干物&イカの塩辛

朝ごはんはアジの干物を中心に、長ヒジキの煮物、こんにゃくのきんぴら、ほうれん草のナムルなど、ご飯が進む組み合わせです。
昨晩あれだけ食べたのに、アジの干物の焼ける香ばしい香りが空腹を誘います。ご飯を多めによそっていただきます。

アジの干物も伊豆の名産。カリッと焼けた頭からかぶりつき、脂がこぼれおちるほどジューシーな身はご飯にのっけます。背骨の周りのせんべい状の部分は塩気と旨味が強く、思わず顔がほころびます。背骨もバリバリと食べて、尾びれを残してすべていただきました。

ご飯をおかわりして二回戦へ。サザエの形をしたかわいらしい器に入ったイカの塩辛は、器の青とのコントラストが鮮やかです。
ご飯に載せて食べるとイカのねっとりコリコリした食感が甘じょっぱさとともに伝わり、なんとも言えない心地に。クセがなくスルスルといただけます。
自家製のアジの干物はお土産にも!

自家製のアジの干物はお土産にすることもできます。
この日は大ぶりのアジが5匹のって850円など。味噌汁用の伊勢海老の頭などもあり、新鮮なお魚を家でも手軽に楽しめそうです。
駿河湾の向こうに富士山が!冬の西伊豆は絶景

大満足で宿を出て数分、断崖絶壁の海岸線を走る道路は絶景が広がります。
雲見温泉がある松崎町は「世界で一番富士山がきれいに見える町」宣言を発表しています。エメラルドやコバルトブルーの海に点在する奇岩。風光明媚な海岸の向こうに、くっきりと富士山が見えました。

伊豆半島一帯はジオパークに登録されており、美しい景色のなりたちを丁寧に解説する看板が随所に立てられています。
建材として使われている「伊豆石」はこのあたりでとれるのだそう。江戸時代の採石場跡を見学し、機械のない時代に大きな石のブロックを担いで険しい崖を運んだ苦労はいかほどか……と思いをめぐらせました。

松崎町の中心部にはなまこ壁の建築が残り、白と黒のコントラストが鮮やかな蔵が青空に映えます。
「食べる温泉宿 大漁」の概要:料金・アクセス・コロナ対策など

西伊豆・雲見温泉の「食べる温泉宿 大漁」は東京から高速道路を使って3時間半ほど。
西伊豆を海沿いにぐるっと通る国道136号線から細い道に入って、宿の奥に駐車場があります。路線バスも利用できますが、車がおすすめです。
宿泊プランは伊勢海老つきなど様々なものがありますが、今回利用したのは金目鯛の煮つけと舟盛りをいただける「元祖プラン」。大人1人10,800円(税込)~とお手頃です。飲み物の持ち込みは1人500円かかります。
雲見温泉観光協会では、30分の1で1万円の宿泊券があたる抽選と、10回泊まると5,000円分の宿泊補助券が必ずもらえる「ダブルキャンペーン」を行っています。詳しくは観光協会のホームページをご覧ください。
「食べる温泉宿 大漁」の詳細情報
施設名 | 「食べる温泉宿 大漁」 |
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住所 | 静岡県賀茂郡松崎町雲見323 |
電話番号 | 0558-45-0553 |
料金 | 1泊2食付き8,750円~ |
アクセス | 東名高速「沼津IC」から伊豆縦貫道・国道136号線経由で約2時間弱 伊豆急下田駅から東海バスW60マーガレット線で「雲見温泉」下車 |
URL | http://izu-tairyo.com/ |
「食べる温泉宿 大漁」の新型コロナウイルス感染症対策
「食べる温泉宿 大漁」では、チェックイン時の検温・消毒、こまめな消毒などの新型コロナウイルス感染症対策を行っています。
また、食事処は個室に分かれ、静かにお食事を楽しめます。部屋食の場合もあります。
詳しくは公式ホームページをご覧ください。
日本温泉協会の新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインなど
温泉施設のコロナ対策ガイドラインを要約してみた【日本温泉協会】

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