【和歌山県】本州最南端の温泉はビジホにあり!本格派の源泉かけ流し ビジネスホテル串本で日帰り入浴

どこに行ってもかならずといっていいほど温泉がある、温泉大国・日本。

ならば本州最南端の町にも……と思って調べてみると、ありました。

いくつかあるうち、「ビジネスホテル串本温泉」が最南端。ビジネスホテルの別館が共同浴場になっていて、源泉かけ流しの温泉を楽しめます。

宿泊客にも地元の人にも愛され、宿の人も誇りをもつ串本の名湯を日帰り入浴で訪ねました。

しょっぱみ×硫黄=最高

温泉の写真は、特別な許可を頂いて他のお客さんのいない時に撮影しました。

レトロな外観に対して、パステルカラーに彩られた浴場はきれいに清掃されていてワクワクします。着替えているときから硫黄の心地よい香りに鼻がくすぐられていたので、入るのが楽しみでなりません。

早速かけ湯をしてつかってみると、1分くらいで額から汗が出てきました。

テイスティング*してみると、さすが海沿いの温泉なだけあって、しっかりとしょっぱみを感じます。そしてその奥に、硫黄とカルシウムの苦味があります。手ざわりはキュッキュッとキレがあります。

* この温泉は飲泉できません。

湯面に鼻を近づけてみると、タマゴ臭といわれる軽やかな硫黄の香りが胸いっぱいに入ってきます。

無色透明のお湯ながら、なかなかしっかりした泉質のお湯です。

硫黄の成分で黒くなった蛇口が、成分の強さを物語っています。紀伊半島の温泉といえば、白浜や龍神など硫黄を含まないものを想像するかもしれませんが、ここは違います。

そしてビジネスホテル串本温泉のこだわりは「源泉かけ流し」。源泉温度27℃ほどの冷鉱泉を沸かして適宜湯舟に補うことで循環濾過はせず、鮮度の良くてきれいなお湯にいつでも入れるようにしています。

お風呂は10人くらい余裕で入れそうなくらい広めで、浅めにお湯が張られていました。入っているうちに慣れて気持ちよくなる41℃くらいの適温で、楽な体勢で入浴できます。

シャワーもきれいに保たれています。シャンプーとボディソープがちょっと良いやつなのも嬉しいです。

汗をかいて全身火照ったら水シャワーを浴びてクールダウンする「温冷交互浴」の代わりを3周くらい回しました。

レトロな雰囲気も楽しい!

脱衣所は広々としていて、ドライヤーと化粧水も使えます。鍵のかかるロッカーがあるのも、日帰り入浴をする上で嬉しいポイントです。

すっかり全身がポカポカになって受付に戻りました。大きなテーブルを囲むソファーは、常連さんの憩いの場になっているのでしょうか。

宿の人も自慢の名湯は「傷の湯」

お湯につかってみて塩分と硫黄を感じられたのですが、アルカリ性なのも特徴のようです。アルカリ性の単純硫黄泉はとろみがあることが多いですが、塩が入ると変わってきます。

効能のポスターに「公害中毒」とあるのが特徴的です。療養泉の一般的適応症(泉質にかかわらず効果効能が期待できる症状)として神経痛や末梢循環障害、軽いぜんそくなどがあり、そうした慢性的な症状の緩和が期待できるのでしょう。

分析書をみてみると、泉質は「含硫黄 – ナトリウム・カルシウム – 塩化物泉」でした。

カルシウムが1,000mg以上も入っているのはとても珍しいです。炭酸イオンが少ないため石灰の析出はせず、硬水のような苦味のモトとしてお湯にとどまっています。

番頭に立つ宿の人に聞いてみると、「硫黄の殺菌作用が傷に良い」とのこと。

塩化物泉も硫黄泉も、切り傷が適応症として挙げられています。きっと漁や工事などでケガをしてしまった人もこの名湯に癒やされたことでしょう。

レトロなビジネスホテルの共同浴場は最高だった

温泉の建物は、港町らしくパステルカラーに塗られています。

上半分は白塗り。小料理屋のような看板もかかっています。

ビジネスホテルは小さな交差点を挟んで隣りにあります。こちらもレトロな雰囲気です。シングル1泊6,500円、ダブル・ツイン11,800円(1部屋あたり・税込)で、温泉と朝食が利用できます。

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、当面の間朝食の提供を取りやめ、宿泊料金をシングル6,000円/ダブル・ツイン11,000円としています。

串本駅は「本州最南端」と「エルトゥールル号遭難事件」をアピールしています。そんな駅前のアーチの奥に、ビジネスホテル串本の看板が立っています。

最初は「ビジネスホテルの温泉」にあまり期待していませんでしたが、看板にあるとおり「疲れを癒やす天然温泉」の実力はさすがでした。

駅前に「ビジネスホテル串本 駅前店」があり、こちらも天然温泉を利用できるようです(日帰り入浴は行っていません)。

本州最南端の串本町で、天然温泉つきのビジネスホテルを2軒営む人に感謝の気持ちを込めて、串本の町を後にしました。

車窓いっぱいに青く輝く太平洋。家路につく高校生たちを乗せて、電車は太平洋に沿って走り続けます。

湯上がりの心地よい暖まりに誘われて、いつの間にかうとうとしていました。

目を覚ますと、ちょうど夕焼けの赤が夜の群青に飲み込まれていくところでした。明日もきっといい天気になりそうです。

「ビジネスホテル串本温泉」の詳細情報

施設名 「ビジネスホテル串本温泉」
住所 和歌山県東牟婁郡串本町串本1815 [Map]
電話番号 0735-62-5792
営業時間 16時00分〜22時00分
利用料金 大人700円/高校生・中学生400円/小人300円
アクセス JR紀勢本線「串本駅」から徒歩5分
南紀白浜空港から紀勢自動車道経由で車で約70分
URL http://www.business-k.sakura.ne.jp/

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