2019年8月1日より、大分県別府市で日本最大級の温泉を熱源とする「地熱発電所」が操業しています。
最新技術「バイナリー発電」を用いて、これまで使い道のなかった温泉の廃熱を利用。地熱発電と温泉資源との葛藤を乗り越えて、持続可能な社会を作り出す新技術として注目されています。
従来の方式では温泉資源に悪影響を与えるのではないかという懸念が強かったのですが、バイナリー発電は余っている熱を使うため地中の温泉資源には影響を与えません。
バイナリー発電とはどのようなものか、温泉部作成の図も用いながら説明します。
バイナリー発電とは?地熱発電のデメリット解消も
バイナリー発電とは、今までよりも少ないエネルギーで発電ができる仕組みです。
発電は基本的に、発電機をまわすことで電気を得ています。非常用懐中電灯を手回しで発電したり、自転車を漕ぎながらライトをつけたりしているときのことをイメージしてください。
身近な手回し発電よりもはるかに大規模に電力をつくるにあたって、蒸気の力で勢いよくタービンをまわすという方法がとられます。これが火力発電や従来型の地熱発電です。

温泉部作成。図にはいらすとやの素材を用いています。
上の図のように、水を加熱して蒸気にしてタービンをまわし、再び水に戻して加熱し……というサイクルが行われています。

※説明用にかなり簡略化してあります。詳細は九州電力のホームページなどをご覧ください。
また従来型の地熱発電は、水を沸騰させるだけの強い地熱エネルギーや、高温の水蒸気を用いて発電していました。
そのため、地熱発電所がつくられると近くの温泉の温度が下がったり、お湯の量が減ってしまうのではないかと懸念されています。

※説明用にかなり簡略化してあります。詳細は九州電力のホームぺージをご覧ください。
バイナリー発電は、水よりも沸点が低い特殊な液体で同じサイクルを行います。常温やぬるめの温度でもどんどん蒸気になってくれるので、100℃まで加熱しなくてもタービンをまわせるというわけです。
従来型の地熱発電と異なり、地中に眠っている高温の地熱エネルギーを使わなくても発電できます。地上に出てきたあとの温泉の廃熱でも沸騰する液体をまわせば、これまでよりも低い温度で十分にタービンがまわります。
日本では2019年現在、発電に占める火力の割合が8割を超えています。水そのものでタービンをまわす水力発電や、太陽光・風力・地熱などの新エネルギーの占める割合はわずかに1割ちょっと。持続可能な開発が求められる中で、電力に関してはおくれを取っています。
火山大国の日本には豊富な地熱資源がありますが、地熱発電で3分の1の電力をまかなうアイスランドのように盛んに利用されているわけではありません。バイナリー発電ならば、温泉などの地中資源を損なうリスクがなく地熱資源を活用できるのではないかと期待できます。
1億5000万円を売り上げる!日本最大級の地熱発電所

別府市郊外につくられた「アイベック地熱発電所」。25mプール7個分にものぼる2,360㎡の敷地に、最大280kWhを発電できるアメリカ製のバイナリー発電機を2台設置。一般家庭700世帯分の電力を生み出すことが見込まれています。
年間の売り上げは1億5000万円という大型のプロジェクトです。
今後も、温泉という限りある資源を未来のために守りつつ、よりよく活用されていくことに期待したいです。
出典:PRTIMES
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