みなさんは、ショリショリした触感の温泉に入った経験がありますか?
東大温泉サークル「OKR」の元代表として数々の温泉を巡り、在学中に350湯もの温泉に入った私ですが、まさかショリショリした温泉があるとは……夢にも思っていませんでした。
今回、唯一無二の不思議な手触りの温泉を体験したのは、山陰の小京都で知られる島根県・津和野町の某所。
ショリショリといっても、凍っているわけではありません。ヒンヤリと冷たいものの、もちろん液体の温泉です。その温泉は、川のほとりのワイルドな露天風呂でした。脱衣所も壁も屋根もなく、ただお風呂だけがそこにあるのです。
しかも無料という、なんとも一石三鳥な不思議な温泉。その魅力をお届けします!
目次
ショリショリの正体は温泉成分!正直コワイけど、いざ入浴

不思議な温泉の水面は、こんな感じで温泉成分の結晶が膜になっています。
正直言って、めちゃめちゃ気持ち悪いです。
これからこんな温泉に入ると思うと、気持ち悪すぎて鳥肌が立ってきます。

意を決して入りました。心なしか、表情が引きつっているような気がします。
身体を入れたところから膜が割れて遠ざかり、ショリショリ……という音が聞こえます。温泉を表現する言葉として「ショリショリ」を使う日が来るとは思っていませんでした。
正直言って、かなり気持ち悪いです。
しかし、慣れてしまえば意外とイケるものです。ひんやりとした鉱泉で、体感温度は25℃くらい。「塩井戸」と呼ばれているだけあって、冷たいです。訪れたのが真夏だったので最高でした!
炭酸ガスが含まれていて、身体に細かな気泡がつき、水面にプクプクと泡が浮かんできます。
鉄とカルシウムの独特の香りに包まれながら、肌がキシキシ・しっとりと包み込まれる感覚になりました。炭酸のおかげか、冷たくても身体が冷え切るようなことはなく、かえって湯上りはポカポカとします。

塩かカルシウムかはわかりませんが、水面で析出物(水に溶けていた物質が固まってできたもの)をつくっている光景は初めて見ました。油分が膜を作ることはまれにありますが、塩分の膜は初めて見ました。
油分の膜ならかき混ぜれば消えてしまいますが、固体の析出物の膜は消えません。しかし、お風呂の中で身体を動かすうちにだいぶ膜が減ったような気がします。これで落ち着いて入浴できそうです。
まるでドーム!積もり積もった温泉成分の上に建つ露天風呂

露天風呂に入る前に撮った写真がこちらです。
津和野川のほとりにひっそりとたたずむお風呂の周りは、長年の温泉成分が積もってすっかりオレンジ色に染まっています。石灰華(石灰ドーム)を彷彿とさせるような、自然の力を感じさせる見た目です。
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写真の右下の部分だけ温泉成分の膜が張っていません。そこから炭酸ガスの含まれた源泉が湧き出しています。
つまり、この温泉は「足元湧出」。温泉好きなら誰しもが憧れる、源泉とお風呂がゼロ距離の超新鮮な極上湯です。目の前でコポコポと温泉水が湧き出す光景は至高でした。

お風呂の外には、あふれ出した温泉成分の膜がたまっています。
正直言って、やっぱり、気持ち悪いです……
しかし、鮮やかなオレンジ色に染まった岩肌は温泉に含まれる鉄分の多さを、お風呂の外にまであふれ出した温泉成分の膜はカルシウムの濃さを、物語っていてワクワクしました。

入浴後にもう1枚お風呂の写真を撮りました。膜が半分ほど消えています。誰かが次に入るころには、また膜が復活していることでしょう。
道なき道を行く!不思議な鉱泉に挑戦してみよう
ショリショリした手触りが不思議な冷たい露天風呂は、脱衣所も壁も屋根もない「野湯」です。
周りから見えるような場所にはないため、入浴する際はその場で服を脱いでください。
なお、この鉱泉に行くには一部私有地を通ることになります。地元の人が管理されている温泉ですので、ここでは名前やアクセス方法などをご紹介できません。どうしても気になる方は調べてみてください。

道路から撮った写真です。川の対岸に露天風呂が小さく写っています。
道路から露天風呂に直接行くことはできないため、最寄りの橋を渡り、車を停めて歩きます。Google Maps には載っていない小さな道が、旧道をへだてた川の対岸に続いています。

軽トラがようやく通れるくらいの細い砂利道の周りには、段々畑が広がっています。私有地だと思われるため、農作業の邪魔にもならないよう、車を降りて歩いたほうがいいでしょう。
「山陰の小京都」津和野の町並みも散策!

せっかく津和野に来たのですから、「山陰の小京都」と呼ばれる町並みも見ていくことにしました。

津和野の町は幕末に起こった大火のあとに建てられた建物が残っており、江戸時代の城下町の町並みが今に残されているのが特徴です。山陰らしい赤瓦と白壁の建物が並び、掘割には大きな鯉が悠々と泳いでいます。
津和野といえばこの美しい町並みですが、少し足を延ばして不思議な温泉に行ってみるのもまた一興です。
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