炭酸水素塩泉とは?効能や人気おすすめ温泉宿3選から肌に良いと言われる理由まで

「炭酸水素塩泉」は、その名前から「炭酸泉」と混同されがちですが、じつはまったくの別物。アルカリ性のお湯が古くなった角質や皮脂汚れをキレイに落としてくれる「炭酸水素塩泉」は美人の湯と呼ばれています。今回は、そんな女性に嬉しい「炭酸水素塩泉」の特徴や効果効能、おすすめの温泉宿などをご紹介していきます。

炭酸水素塩泉とは? どうして美人の湯と呼ばれるのか?


まず「炭酸水素塩泉」について簡単に説明します。

炭酸水素塩泉の定義

「炭酸水素塩泉」とは、「塩化物泉」や「硫酸塩泉」と同じ塩類泉の一種。多くの場合アルカリ性の性質をもっているのが「炭酸水素塩泉」の特徴です。アルカリ性のお湯は、古くなった角質や皮脂汚れを溶かしてツルツルに仕上げてくれるため、「美人の湯」とも呼ばれています。

「炭酸水素塩泉」の定義は、温泉水1kgの中に溶け込んでいるガス以外の物質が1,000mg以上あり、さらに温泉水にふくまれる陰イオンの主成分が炭酸水素イオンであること。お湯にふくまれている陽イオンの成分の違いによって、「ナトリウム-炭酸水素塩泉」、「カルシウム-炭酸水素塩泉」、「マグネシウム-炭酸水素塩泉」などに分類されています。

「炭酸水素塩泉」の多くは重炭酸ソーダ、つまり重曹がふくまれている「ナトリウム-炭酸水素塩泉」。重曹の特性によって、アルカリ性の性質をおびます。また、「カルシウム-炭酸水素塩泉」からは、石灰質の沈殿物や析出物が生成されるのも特徴です。

塩類泉とは?

上記で、「炭酸水素塩泉」は塩類泉の一種であるとご紹介しました。塩類泉とは、温泉水1kgの中に溶け込んでいるガス以外の物質が1,000mg以上あり、規定値以上の特殊な成分がふくまれていない泉質のこと。

温泉水1kgの中に何かしらの成分の合計が1,000mg以上ふくまれていれば塩類泉に分類され、さらに規定値以上の特殊な成分がふくまれていた場合は、そのふくまれている成分によって「硫黄泉」や「含鉄泉」など、塩類泉以外の泉質に分類されることとなります。

ちなみに、温泉水1kgの中に溶け込んでいるガス以外の物質が1,000mg以下の場合で、泉温が25℃以上の温泉は「単純温泉」に分類されます。

炭酸水素塩泉と炭酸泉の違い

「炭酸水素塩泉」は、その名前から「炭酸泉」と混同されることの多い泉質です。一般的に「炭酸泉」と呼ばれているのは「二酸化炭素泉」。「炭酸水素塩泉」とはまったくの別物です。

「二酸化炭素泉」や「炭酸泉」の詳しい解説は以下をご覧ください。

におい

「炭酸水素塩泉」のほとんどは無臭ですが、お湯にふくまれている成分によって薬のような臭い、または鉄のような臭いがする温泉もあるそうです。

基本的に、「炭酸水素塩泉」には味がありません。ただ、お湯にふくまれている成分によって、苦みや酸味をおびることがあります。


「炭酸水素塩泉」のお湯は無色透明です。しかしなかには、お湯にふくまれている成分の影響によって色が付いているものもあります。

炭酸水素塩泉の代表的な温泉

「炭酸水素塩泉」の代表的な温泉として、和歌山県にある「龍神温泉」や岩手県にある「国見温泉」、佐賀県の「嬉野温泉」などをあげることができます。

炭酸水素塩泉の効果効能は?


「炭酸水素塩泉」の性質はほとんどがアルカリ性です。アルカリ性の性質が、角質を柔らかくし火傷の治りをはやくしてくれるといわれています。また、余分な角質をとって新陳代謝を高めてくれるため、切り傷や慢性皮膚病にも効くのだとか。飲用することで、肝臓病・糖尿病・慢性消化器病・痛風などへの効果効能も期待できます。

適応症

浴用:切り傷・火傷・慢性皮膚病(アトピー性皮膚炎など)
飲用:肝臓病・糖尿病・慢性消化器病・痛風

禁忌症

浴用:なし
飲用:腎臓病・高血圧症・むくみがあるとき

美人の湯としても人気

「炭酸水素塩泉」の多くはアルカリ性の性質を持っているとご紹介してきました。アルカリ性のお湯は、古い角質や皮脂汚れを落としお肌をツルツルにしてくれます。そのため、「炭酸水素塩泉」は「美人の湯」と呼ばれきました。

そもそも適応症とは、療養のための効果効能のこと。美容の効果については記載されていません。「美人の湯」として名高い「炭酸水素塩泉」の適応症に、美肌という記載がないのはそのためです。

「炭酸水素塩泉」のお湯に入浴すると皮脂がきれいに落ちるため、お肌の水分の蒸発が促進されます。水分は蒸発とともに体の熱を奪うため、「炭酸水素塩泉」につかった後は爽快な清涼感を得ることができるんです。夏場におすすめの泉質といえますね!

ただし、水分が蒸発するということは肌を乾燥させるということでもあるので、「炭酸水素塩泉」のお湯で入浴したあとは、必ず保湿ケアをおこなうようにしてください。

妊婦は入浴して大丈夫?

「炭酸水素塩泉」のお湯は、妊娠中に入浴しても問題ありません。ただし、「炭酸水素塩泉」に限らず、妊娠中の温泉入浴は、ご自身の体調とよく相談してからおこなってください。

生理中は入浴して大丈夫?

生理中であっても、「炭酸水素塩泉」への入浴に問題はありません。周囲の方々への配慮を怠らずマナーを守って入浴を楽しんでください。

赤ちゃんは入浴して大丈夫?

「炭酸水素塩泉」は、「単純温泉」や「塩化物泉」と比べて刺激の強い泉質です。お肌がデリケートな赤ちゃんを入浴させるなら、刺激のあまりない「単純温泉」や「塩化物泉」のお湯がおすすめです。

「美人の湯」で人気! 炭酸水素塩泉のおすすめ温泉宿3選

代表的な「炭酸水素塩泉」の温泉宿をご紹介します。参考にしてください。

その1:ラジウムも豊富に含む美人の湯「下御殿」(龍神温泉)

和歌山県「龍神温泉」のお湯は、ラジウムを豊富にふくむ「ナトリウム-炭酸水素塩泉」です。群馬県の「川中温泉」や島根県の「湯の川温泉」とともに日本三大美人の湯に数えられています。

ラジウムがふくまれているため、美容だけではなく免疫力の向上にも効果を発揮する名湯です。日高川の清流を間近に望む露天風呂で、龍神温泉のお湯を堪能してください。

「下御殿」の施設情報

施設名 下御殿
住所 和歌山県田辺市龍神村龍神38
電話番号 0739-79-0007
URL http://www.shimogoten.com

その2:エメラルドグリーンの美しい湯「森山荘」(国見温泉)

こちらの宿では、硫黄成分を含む「炭酸水素塩泉」を楽しむことができます。成分の中に藻の一種がふくまれており、透き通った緑色をしているのが特徴。重曹を多くふくんでいるため、美肌効果も抜群です。

雄大な自然に囲まれた温泉宿で、美人の湯の効果を体感してみてください。

「国見温泉 森山荘」の施設情報

施設名 国見温泉 森山荘
住所 岩手県岩手郡雫石町橋場国見温泉
電話番号 090-1930-2992
URL http://www.morisansou.com

その3:湯量豊富な美肌の湯「和多屋別荘」(嬉野温泉)

上記でご紹介した「龍神温泉」は「日本三大美人の湯」のひとつでしたが、こちらのお湯は「日本三大美肌の湯」。島根県の「斐乃上温泉」と栃木県の「喜連川温泉」とともに、日本を代表する美肌の湯として数えられています。

江戸時代から宿場町として栄えてきた佐賀県「嬉野温泉」。その情緒を楽しみながらゆったりと美肌の湯をあじわってみてください。

「嬉野温泉 和多屋別荘」の施設情報

施設名 嬉野温泉 和多屋別荘
住所 佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738
電話番号 0954-42-0210
URL http://www.wataya.co.jp/

旧泉質名と新泉質名


「炭酸水素塩泉」の旧分類による泉質名と新分類による泉質名をそれぞれご紹介していきます。

旧泉質名

旧分類で「炭酸水素塩泉」は、「重炭酸土類泉」と「重曹泉」のふたつの泉質に大きく分けられていました。ふくまれている成分によって、さらに細かく分類されていたことがわかります。アルカリ性の性質をもつ泉質が重曹泉。お湯の中に重曹を多くふくむ泉質です。

■重炭酸土類泉
・純重炭酸土類泉
・含炭酸-土類泉
・含食塩-重炭酸土類泉
・含芒硝-重炭酸土類泉

■重曹泉
・純重曹泉
・含炭酸-重曹泉
・含食塩-重曹泉
・含芒硝-重曹泉
・含食塩・芒硝-重曹泉
・含土類-重曹泉

新泉質名

旧泉質名では分けられていた「重炭酸土類泉」と「重曹泉」が、新泉質名ではひとつの泉質として統合され「炭酸水素塩泉」となりました。「炭酸水素塩泉」は、ふくまれている成分によってさらに細かく分類されます。

■炭酸水素塩泉
・カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉
・カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉
・含二酸化炭素-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉
・カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
・カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
・ナトリウム-炭酸水素塩泉
・含二酸化炭素-ナトリウム-炭酸水素塩泉
・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉
・ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉

炭酸水素塩泉につかって美肌になろう!

「炭酸水素泉」の多くはアルカリ性の性質をもっています。これらが古くなった角質や皮脂を落としやすくするため、炭酸水素泉は「美人の湯」と呼ばれているんです。炭酸水素泉のお湯につかれば、しっかりと実感できるほどお肌がツルツルになりますよ! 「炭酸水素泉」のお湯につかって美肌を手に入れましょう。

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