東京都の秘島「青ヶ島」のサウナは天然温泉!?地熱で蒸すひんぎゃ料理も体験

八丈島から南におよそ80km、船の欠航率は5割ほどといわれる東京都内の絶海の孤島「青ヶ島」。世界でも珍しい二重カルデラの島では、地熱であたためたサウナに地熱で蒸す料理と、火山の恵みを体験できます。

青ヶ島唯一の公衆浴場「ふれあいサウナ」と、誰でも利用できる「ひんぎゃ」を体験してきました。

「ふれあいサウナ」地熱でととのう新体験

「ふれあいサウナ」は、島の中心部の池之沢地区にあります。三宝港と、集落が広がる休戸郷の間にあり、住民はおらずキャンプ場のみがあります。

キャンプ場で泊まる観光客や地元の方で賑わっていました。

入浴料金は300円とお手頃。受付で料金を払い、更衣室へ。ロッカーは広めで、リュックサックもしっかり収納できます。

ロッカーも鍵付きですが、貴重品を預けたい方は貴重品用のロッカーもあります。どちらも無料で使えます。

扉を開けると、まず浴場がありました。サウナという名前ですが、お風呂とシャワーもついているので公衆浴場としても利用できます。

シャワーの横には、シャンプー、リンス、ボディソープが完備。シャンプーとリンスが分かれているところにこだわりを感じます。

さて、肝心のサウナにも入ってみました。木がふんだんに使われたサウナ室は、奥の窓から入ってくる地熱であたためられ、室温が60度近くに上がっています。

水蒸気で満たされ、温度の割に暑く感じました。

湯気たっぷりの室内にいると、何もしていなくても汗がじとじとと出てきます。温度が高すぎないおかげで髪の毛の灼ける感覚もなく、ただただ汗を流しました。

5分で限界を感じて脱出し、水シャワーでクールダウン。お客さんが多かったので長居せず、湯舟につかってから出ることにしました。

お風呂は3人入ったらいっぱいになってしまう、小さめサイズ。譲り合って利用しましょう。

熱めのお湯がたっぷりと張られ、お風呂だけでも十分にととのいそうです。この日は残念ながら水風呂は空いていませんでした。

青ヶ島のサウナは天然温泉!?

サウナでポカポカにあたたまった身体を拭きながら脱衣所で休んでいると、気になる張り紙を見つけました。

温泉好きにはおなじみの温泉分析書(別表)ではありませんか!

天然温泉を使う公衆浴場は掲示する必要があり、温泉の成分や泉質、入浴の注意点などが書かれています。

本温泉の利用にあたっては浴用及び飲用にも該当しないので、禁忌症及び適応症、一般的注意事項は示さない。

え〜〜、そうなんだ! と内心驚きますが、よくよく考えてみれば確かにそう掲示するのが正しいです。
※以下、長くなるので興味のない方は飛ばしてください

ふれあいサウナの謎を温泉ソムリエが解説

温泉法(昭和23年法律第125号、つまり制定から70年以上経ってます!)では、温泉を以下のように定めています。

(定義)
第二条 この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
出典︰e-Gov法令検索e-Gov法令検索

黄色くハイライトした部分に注目してください。温泉とは、水やお湯に限らず、「地中からゆう出」していればガスでも良いのです。

(温泉の成分等の掲示)
第十八条 温泉を公共の浴用又は飲用に供する者は、施設内の見やすい場所に、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を掲示しなければならない。
一 温泉の成分
二 禁忌症
三 入浴又は飲用上の注意
四 前三号に掲げるもののほか、入浴又は飲用上必要な情報として環境省令で定めるもの
出典︰e-Gov法令検索

温泉法では、「成分等の掲示」についてもふれています。ここでは「浴用又は飲用」に限られています。

そして、適応症と禁忌症を定めた「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」には、飲用と浴用の適応症・禁忌症しか定められていません。

つまり、サウナ用の「温泉(法律上は温泉に分類されますが、実態は水蒸気です)」は適応症や禁忌症を掲示する義務はなく、そもそもサウナ用の適応症や禁忌症はありません。

水蒸気の成分については分析が行われて、脱衣所に並んで掲示されていました。内容はふれあいサウナを訪れてのお楽しみということで、ここでは掲載しません。

ふれあいサウナの自販機で「湯上がりのビール」

ふれあいサウナの入口には自動販売機があり、お茶やジュースなどのソフトドリンクだけでなく、ビールもあります。

「離島料金」ではなく、ごく普通のお値段。缶ビールは260円でした(2022年5月時点)。

というわけで、さっそく風呂上がりのビールをいただきます。

身体の中まであたたまって、行きは長袖シャツに上着を羽織っていたのに、今は半袖でちょうど良いくらい。ビールの喉越しが心地よくしみわたります。

※青ヶ島の観光はレンタカーが推奨されていますが、今回私は全て徒歩で移動しました。車を運転するときは、お酒は禁物です。

なつかしい雰囲気が心地よい「ふれあいサウナ」

ふれあいサウナは1990年頃に建てられました。ピンク電話が今も現役で、なんだか懐かしくなります。

隣のボックスには「村内電話」。村内のどこにでもかけられるのでしょうか? 携帯の電波が悪いときに重宝しそうです。

脱衣所の奥には、広々とした休憩スペースがあります。

「広報あおがしま」を発見。地元の人になった気分がうれしくて、つい手にとってしまいました。

青ヶ島「ふれあいサウナ」の詳細情報

施設名 「ふれあいサウナ」
住所 東京都青ヶ島村無番地(池之沢地区)
電話番号 04996-9-0203
営業時間 月火木金︰16時00分〜20時00分
土日祝日︰14時00分〜20時00分
※最終入館19時00分
定休日 水曜日
利用料金 大人300円、小中学生と65歳以上の島民は100円
URL http://www.vill.aogashima.tokyo.jp/life/facilities.html

「ひんぎゃ」で地熱の蒸し料理を体験

青ヶ島で地球の恵みを感じられるスポットといえば、地熱で蒸し料理ができる「ひんぎゃ」です。

「火の際」が名前の由来だそうで、高温の水蒸気でじっくりと蒸すことでふっくら美味しく仕上がります。

「ひんぎゃ」はふれあいサウナのすぐ隣にあり、いつでも無料で利用できます。

さっそく「地熱料理」を体験してみましょう。

青ヶ島の民宿では、お昼ごはんに「ひんぎゃ弁当」を出してくれる場合があります(要事前問合せ)。

私が泊まった「かいゆう丸」では、ジャガイモ、さつまいも、卵、ソーセージ、おにぎりのセットでした(メニューは日替わりです)。

地元のおじさんに分けてもらった島のさつまいも「かんぼ」も入れます。

フタを閉めて水蒸気が出るバルブを全開にし、25分ほど待ちます。

ひんぎゃの待ち時間は「丸山遊歩道」でカルデラを一周

待っている間に、二重カルデラの内側の山を一周できる「丸山遊歩道」を散策しました。一周20分ほどと、ひんぎゃの蒸し上がるのを待つのにぴったりです。

ひんぎゃのすぐ裏手の斜面は、いたるところから水蒸気が噴き出しています。火山の力を感じます。

ひんぎゃの塩でいただきます

さて、25分待って蓋を取ると、芋の色が濃くなり美味しそうに仕上がりました。

青ヶ島の名物「ひんぎゃの塩」とマヨネーズでいただきます。

ひんぎゃの塩は、その名の通り地熱の釜でじっくりと精製するお塩です。手間をかけてきれいな粒にそろい、焼き魚に合うのだそうです。

「かんぼ」はねっとりしすぎず、やさしい味わいでした。ひんぎゃの塩をつけて食べると、コクがより強く感じられます。

おにぎりはふっくらモチモチになり、ソーセージはジューシーに。地熱の底力を感じました。

上陸が難しい島「青ヶ島」の行き方

2021年に就航した新造船「くろしお丸」

青ヶ島へのアクセスは、八丈島から船かヘリコプターの2通りです。

週に4便の定期船の就航率は半分ほどとされ、海が荒れる冬は1週間連続で欠航することも。毎日運航するヘリコプターは定員9名で、座席争奪戦となります。

青ヶ島に行くなら、少なくとも帰りはヘリの予約がおすすめ。1ヵ月前の朝9時から、東邦航空の予約センターで受け付けています。座席を確保できなくてもキャンセル待ちができて、結構な割合で回ってくるそう。諦めずに待ち続けましょう。

私はヘリの予約が間に合わず、往復とも予約不要の船を利用しました。ヘリコプターは10分で1万円強に対して、船は3時間半かかるものの3,000円前後とお手頃です。

5月は海が安定しており、船の就航率は7〜8割に上がります。それでも私が青ヶ島に渡った前日は大シケで欠航。往復とも就航したのはラッキーでした。

青ヶ島で自然のダイナミックさを感じよう!

要塞のような三宝港は、青ヶ島の航路を守る先人たちの努力の結晶です。

二重カルデラの外側の外輪山のさらに外に、集落が広がっています。急な坂道を進みます。

内側の外輪山は、きれいな形をしています。その名も「丸山」。

太平洋に沈む夕日を集落のはずれで眺めました。

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