- ブドウ畑の真ん中からお湯が湧きだして以来、関東からも手軽に行ける温泉地として栄えてきた山梨県の「石和温泉」。
そんな奥座敷的温泉地に、地元の人でにぎわうアットホームな銭湯がありました。その名もズバリ「石和温泉」。
もう一度繰り返しますが、名前が「石和温泉」なのです。
430円で入れて、2種類の源泉をたたえたお風呂の奥には逆さ富士のペンキ絵が。そして、湯上がりにはビールと “石和で2番目に美味い” 絶品ラーメンを。
駅から近くて泉質もコスパも最強な、穴場の日帰り入浴スポットをご紹介します。
目次
昔ながらのたたずまいにワクワク!

JR中央線「石和温泉駅」に着いたのは20時半。暗い駅前通りを10分ほど歩いて路地に入れば、「銭湯 石和温泉」が見えてきます。
ラーメンののれんに心惹かれつつも、飲酒後の入浴を避けるためにもまずはお風呂にします。

番台で入浴料430円を払い、まっすぐお風呂へ。銭湯のためワンコインでおつりが出る格安価格に抑えられています。
右横が居酒屋で、奥がお風呂です。
山梨らしい「逆さ富士」のペンキ絵に旅情MAX!

温泉の撮影は施設の方の特別な許可を頂いて、他のお客さんがいないときに行いました。
早速男湯に入ってみると、目の前には様々な青を重ねた逆さ富士のペンキ絵が。湖畔に植えられたしだれ桜がまた旅情を誘います。
ちなみに女湯は桜のかわりにコスモスが咲いているそうです。春の桜と秋桜(コスモス)を対にする心にくさを感じながら、間もなく訪れる秋の高い空に映える富士山を思い浮かべました。
キレがありながらもやわらかく肌を包みこむアル単泉

湯舟は3つあり、左側からアルカリ単純冷鉱泉の加温浴槽、同じお湯でややぬるめに沸かした電気風呂、アルカリ性単純硫黄冷鉱泉の水風呂となっています。
手を入れたばかりのときは(ちょっと熱いかな?)と思いつつ、かけ湯してつかれば1分もせず適温に感じられるような、絶妙な湯加減です。
まろやかなお湯は手でもむとキュッキュッとキレがありながらも、やわらかで肌を包み込むよう。いつまででも入っていられそうですが、3分くらいで額が汗ばんできました。
硫黄の香る冷鉱泉にも興奮!

クールダウンするべく、冷鉱泉の湯舟へ移動しました。
ここの湯船の特徴として、湯口と排湯口がつつましく作られていることが挙げられます。
循環はしているそうですが、塩素くささもなく、湯船で深呼吸すれば硫黄の心地よい香りが胸いっぱいに入ってきます。
アルカリ性と硫黄が結びつくと、とろみのある「美肌の湯」になります。どちらかといえばキレのある手触りですが、ギュッギュッとした感じでアル単泉の方とは明らかな違いを感じます。

もう一度じっくり温かいお風呂に入ってしっかり身体を暖めてからあがることにしました。

脱衣所もレトロな雰囲気が漂っていますが、清掃が行き届いていて快適です。ロッカーは鍵がかかるので日帰り入浴でも安心です。
風呂→湯上がりのビールをたったの5歩で。

「銭湯 石和温泉」では、番台から居酒屋までが土足で、男女別のお風呂の入口で靴を脱ぐようになっています。
扇風機の風でクールダウンしたところで、靴を履いて居酒屋へ。その間わずか5歩。「湯上がり→ビール」の流れは日本屈指のスムーズさではないでしょうか?
早速生中(550円)を頼むと、最適なバランスの泡をたたえたキンッキンのビールが運ばれてきました(写真を撮るのもそこそこにグビグビ飲んでしまいました)。お通しはサービスです。

メニューが豊富で、しかも200円〜とお手頃です。
厨房前に貼りだされたお品書きをついつい読み込んでしまい迷っていましたが、斜め前の地元のお客さんが頼んだ焼き茄子(200円)があまりにも美味しそうだったので、マネすることにしました。ついでに「サラダ付き」のアジフライ(350円)も頼みます。

泡を作るために余分に注いだビールのおこぼれにもあずかり、2.5杯目に手をつけたところで運ばれてまいりました。
フライパンで焼いたという焼き茄子は、外はカリッと中はフワフワで、茄子のポテンシャルをここまで引き出すものかと感激しました。
揚げたてサクサクフワフワのアジフライは、1尾だけでもしっかりとサラダとレモン・カラシで飾り立てられ、ご馳走として輝いています。
モグモグゴクゴクと、無我夢中で飲み食いしました。
“石和で2番目に美味いラーメン” を頼んでみた→こんなに美味しくて本当に2番目なの?

さて、〆めはラーメン(550円)です。「石和で2番目に美味い」とお品書きに書いてあり、のれんにも掲げられているここの名物です。
おつまみをあらかた食べ終えたところで運ばれてきたラーメンは、鶏ガラのホッとする香りが鼻いっぱいに入ってきて、井之頭五郎になった気分で「これこれこういうのがいいんだよ」と言いたくなってしまいます。
胡麻、ネギ、ワカメがほどよいアクセントになってサッパリと頂けます。出汁の効いたスープを絡めた中太のちぢれ麺は、最後までモチモチといただける絶妙な茹で加減でした。ズルズルと一心に麺をすすった勢いで、汁完してしまいました。

ラストオーダーの時間を過ぎて、お店の人もひと段落したようです。「素晴らしいお湯でした」と伝えたところ、東京から移住して働いているというお姉さんは「私は水風呂が好きなの。毎日何十分も入っているわ」と教えてくれました。
年齢を感じさせないツルリとした肌を見て、今度はそうしようと決意します。
そんなお姉さんから、「お客さんからの差し入れよ」とシャインマスカットを頂きました。実の甘みと皮のシャキシャキ感を楽しんでいると、もう閉店の時間。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため短縮営業をしており、21時ラストオーダー・22時閉店(銭湯・居酒屋ともに)となっています。東京行きの終電の時間もあるので、再訪を誓って出ることにしました。

お会計をお願いすると、カレンダーの裏の伝票を見せてくれました。スルスルと暗算して教えてくれたお会計はまさかの2,000円未満。
県内のSAや温泉施設で配布中の「やまなし立ち寄り百名湯手帳」を提示して飲食代を1割引きにしてもらったのですが、それ以上に元々の安さが際立っています。
大満足で銭湯&居酒屋を後にし、ほろ酔いのまま雨の降る夜道を石和温泉駅に向かって歩いていきました。
「石和温泉」(銭湯)の詳細情報
施設名 | 「石和温泉」 |
---|---|
住所 | 山梨県笛吹市石和町市部1091-2 [Map] |
電話番号 | 055-262-3441 |
営業時間 | 15時00分〜23時00分 ※コロナ対策のため、当面の間22時閉店です。 |
定休日 | 月曜日・第4火曜日 |
利用料金 | 大人430円、中人170円、小人70円 |
アクセス | JR中央線「石和温泉駅」から徒歩約10分 中央自動車道「笛吹八代IC」から車で約10分 |
URL | https://yamanashi.k-o-i.jp/koten/isawaonsen/ |
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