新感覚!足がつかない温泉湖で恐怖の(?)遊泳体験|ハンガリー・ヘーヴィーズ温泉湖

「うお”お”お”お”お”お”お”!!!! ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!! アバッアバッ……」

一緒に温泉に入った友達が、急に叫びだしました。 それもそのはず、僕たちが入っている温泉は足がつかないのです。

水深2~38m」の注意書きがいたるところに貼ってあります。

「はい、力抜いて~」と溺れそうになって慌てる友人を落ち着かせ、無事に救出(?)完了。入ってすぐに「恐怖の入浴」と相成りました。

ハンガリーの「ヘーヴィーズ温泉湖」は、湖全体が温泉になっています。コツをつかめば気持ちいい! 珍しい温泉の入浴記です。

浮き輪でプカプカ、新感覚の温泉に感動

青空のもと、プカプカと湖水浴を楽しむ人たち。硫黄の香りがするヘーヴィーズ温泉湖は、プールと同じくらいの水温約30℃で湖水浴にはぴったり。

浮き輪の貸出・販売をしているので、溺れる心配なく快適に温泉を楽しめます。

レンタルの浮き輪はこんな感じのチューブ状。ビニール製の大きな浮き輪に慣れた僕には心もとなく感じられましたが、慣れれば平気です。

冒頭で溺れかかっていた友達も、力を抜いてリラックスしたらちゃんと楽しく湖水浴ができていました。

ただし、ジョイント部分がゆるいものも多く、泳いでいたらいきなり外れた! なんてことも……形が変わっても浮力は一緒。焦らずにサッと直せば大丈夫です。

ヘーヴィーズ温泉湖は、いきなり深くなっています。湖の中心部分に浮かぶロッジから入るのですが、足場のないところでは足がつきません。一歩階段や足場を離れたら、浮かぶしかないのです。

湖畔に建てられたロビーにあった模型。水深38mが恐ろしく思えてきます。

水深2~38mとあるように、浅いところでもほとんどの人が立てません。最大水深38mと聞くと、怖くなってきます。

でも大丈夫。湖には監視員さんがいて、ボートで見回りをしてくれています。もし急に自分が沈まないか怖くなってきたら、とにかくリラックス! 力を抜けば自然と身体が浮かびます。

そして何より安心できるのが、ロッジの真下にある「温泉ゾーン」。

こちらは源泉の真上にあって温かい上に、手すりや足場がいっぱいあるので誰でも安心して温泉を楽しめます。

外は約30℃なのに対し、中は体感で37℃ほど。体温とあまり変わらないぬるめのお湯なので、ずっと浮かんでいられます。

僕たちが訪れたときも、外は人がまばらだったのに対して、こちらは人がたくさん。手すりにつかまったり浮かんだりしてまったりと温泉を楽しんでいました。

水の色を見てもわかるように、ロッジの真下の方が硫黄も濃く感じられます。建物の中が硫黄の香りで満たされていて、硫黄泉が大好きな僕は大興奮。ヨーロッパでこんなに本格的な硫黄泉に入れるとは思っていませんでした。

湯上がりの肌はスベスベで、脂っぽいものを食べるとすぐに肌が荒れてしまう僕もすっかり肌の調子が回復しました!

最初の恐怖はどこへやら。いつの間にか、すっかりリラックスしていました

英語版公式パンフレットより

分析表を見ると、硫化水素イオン(Sulphide〔上表右下〕; S²⁻)が 3.2mg/L となっています。日本の泉質分類では総硫黄2mg/L以上で硫黄泉と認められます。ヘーヴィーズ温泉湖全体が硫黄泉だと考えるとあらためてワクワクしてきます!

たっぷり2時間半ほど湖水浴(入浴?)を楽しんで着替えたら、肌着もバスタオルも硫黄のにおいがプンプン。温泉好きの僕にとっては最高ですが、気になる人は捨てても構わない肌着を用意しておくといいかもしれません。

「硫黄泉」の効果効能

泉質名 硫黄泉
浴用適応症 アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・慢性湿疹・表皮化膿症
飲用適応症 糖尿病・高コレステロール血症

硫黄泉についてもっと詳しく

 

広~い館内を探検!日光浴も泥パックもできる

ヘーヴィーズ温泉湖の受付は湖畔の建物にあります。ロッカールームで着替えて、湖の中心に建つロッジまで長い廊下を歩きます。

100mくらいはあろうかと思われる長い廊下の途中に、いろいろと気になるものを見つけたので館内を探検してみました。

日光浴できるデッキチェアーのがずらり。夏でも暑くなりすぎず快適に過ごせそうです。

泥がためられた一角を発見。「水着に色がつく可能性があるので注意」と張り紙がしてありました。

泥をすくい上げてみると、湖底にたまったもののようで粒が大きめでした。全身つかるには寒かったので、足だけつかって戻ります。

廊下の途中には水飲み場もあります。

ロッジの入口には、水温と室温が書かれてました。温泉熱のおかげか肌寒く感じないようになっています。

ハンガリーでもっとも有名な温泉として表彰されたことを伝えるオブジェ。3月の平日でも多くの観光客でにぎわっていたのも納得です。

ドリンクやアイス、ランチなども買えます。

湖面にはハスが浮かんでいました。初夏になると花が咲くようです。

先ほどご紹介した湖の模型の近くに、ハスの花が咲いている様子が描かれていました。

ヘーヴィーズ温泉湖を楽しむには?3点セットをレンタルで揃えよう

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▲ヘーヴィーズ公式チャンネルが投稿している動画です。

ヘーヴィーズ温泉湖を満喫するには、水着タオル、そして浮き輪がマストアイテム。いずれもレンタルできるので、持ってこなくても大丈夫です。

ロッカールームの奥、湖の中心に建つロッジの中にレンタルコーナーがあるので、貸出・返却は服を着て行くようです。

浮き輪(Swimbelt:価格表の2行目)は1,600フォリント(≒550円)と書いてあります。実際には、そのうち1,000フォリントがデポジットなので、かかるお金は600フォリント(≒220円)ほど。とっても安いです。

この表にある通り、バスローブやスリッパなどもあるとより快適に過ごせるでしょう。

僕たちが訪れた3月はまだまだ肌寒く、湖で泳いだあとに長い廊下を歩くのはちょっとつらかったです。ロッジの中はプール施設そのもので、トイレにサンダルが置かれていないため裸足だとお手洗いを使うのも抵抗感がありました。

オープン直後は大混雑!ロッカーの使い方も覚えておこう

僕たちが着いたのは、オープン前の朝8時45分。まだ肌寒い3月にも関わらず、多くの人が並んでいました。My浮き輪をもった人も多数いるので、長期滞在の人や地元の人もたくさんいるようです。

日本の「海水浴」や「湖水浴」と違って、この建物に入場しないと泳げません。オープンまでみんなで大人しく待ちます。

9時になり、いよいよオープン。建物の中に入った瞬間、硫黄の香りがふわりと漂ってきました。受付でお金を払い、リストバンドを受け取ります。

※写真は他の温泉施設で撮ったものです。

ICタグつきのリストバンドで、入場券とロッカーの鍵を兼ねています。改札にかざして、いざロッカーへ。

どっと人が押し寄せるので、ロッカーの使い方をマスターしてスムーズに利用したいところです。

日本のスーパー銭湯と違って、リストバンドには番号がありません。そして、ロッカーは男女共用。この機械にかざして自分のロッカーの番号を教えてもらいます。

右下の青く光っているところにリストバンドをかざすと、空いているロッカーを一つ割り当ててくれます。

割り当てられたロッカーの番号がわからなくなったときも、この機械にかざせば教えてくれます。

ロッカーは上下二段。リュックサックも十分入る大きさです。ここに、靴も含めてすべての荷物をしまいます。

水着に着替えるときだけ、カーテンに囲まれた更衣室のようなブースに入ります。もちろん鍵がかかるので安心。他人に裸を見られないようになっています。

扉の白いでっぱりにリストバンドをかざし、レバーを右に回すと開き、左に回すと閉められます。ロッカーの番号は自分しかわからないのでセキュリティも高いです。

水着に着替えたら、長い廊下を進んで湖へ。途中にあるシャワーブースで、かけ湯かわりにシャワーを浴びてから入りましょう

ロッカールームには水着の脱水機とドライヤーもあり、スッキリした気分で帰れます。

※写真は他の温泉施設で撮ったものです。

退場するときには、リストバンドを改札の近くにある箱に入れます。セキュリティがしっかりしていて、安心して湖水浴を楽しめます。

温泉街も楽しい!風呂上がりに街歩きを

ヘーヴィーズ温泉湖のまわりには、温泉街ができています。お土産物屋さん、水着屋さん、カフェやレストランなどが建ち並ぶ通りは、パステルカラーの建物がきれいで歩いていてワクワクします。

地元の人向けの小さなスーパーマーケットがあったので、風呂上がりの一杯を購入しました。

これで275フォリント、100円くらいです。肌寒くてもビールは美味しいです。湖水浴で意外と体力を使ったので、体中にしみわたる旨さでした。

湖畔はコテージ村になっています。ヘーヴィーズ湖の施設も含めて、ブルガリア語・ドイツ語・英語・ロシア語の4ヶ国語表記がしっかりしています。英語があると安心です。

季節の花が植えられた芝生はきれいに手入れされていて、「ハンガリーで一番有名な温泉」の誇りを感じます。温泉街のいたるところに花壇があり、どれもよく手入れされていました。

バスターミナルに戻って帰りのバスを待ちます。バスターミナルから温泉施設は徒歩5分くらいです。

ヘーヴィーズ温泉湖への行き方・アクセス:ブダペストからは約3時間

ハンガリーの首都・ブダペストからヘーヴィーズまでは200kmほど離れています。ヘーヴィーズの手前の町・ケストヘイ(Keszthely)まで鉄道とバスが走っていますが、僕は鉄道を選びました。

バスの方がやや安くて早いですが、鉄道は座席がゆったりしていて快適です。日本のグリーン車くらいのシートピッチだとイメージしてください。

ハンガリー国鉄公式ページのスクリーンショット

列車の予約は駅でもできます。窓口よりも券売機の方が少し安くなります。それよりも安くなるのが、オンラインの予約。ハンガリー国鉄の公式サイト[英語]にアクセスし、右上の人のアイコンをクリックします。

すると、上のようにメニューが開き、「E-ticket」が出てきます。画面左側の「timetable」からでは時刻表検索しかできないので気をつけてください。

会員登録してログインし、「Ticket booking」のページを開き、日付と出発地・目的地を入れたら準備完了。

検索結果から乗りたい列車を選んで、「Book ticket」をクリックします。乗車する人のデータを打ち込み、クレジットカードで決済してE-ticketをダウンロードしたらおしまい。

運賃は3,700フォリント(≒1,300円)程度とお安いです。

あとは列車に乗るだけ。車掌さんが来たらE-ticketのQRコードを見せれば、検札もおしまいです。

ハンガリー最大の湖「バラトン湖」に沿って列車はゆっくりと走ります。僕が乗った夕方の車窓は、空がかすかに茜色に染まっていてとても美しかったです。

途中で乗換が必要な列車もあるので、車掌さんに聞いてみてください。

ブダペストから3時間弱でケストヘイ駅に着きます。

ケストヘイは湖畔の町。駅のすぐ近くのビーチの先に、美しい水面が広がっています。

駅前のバスターミナルから、ヘーヴィーズ行のバスが30分に1本ほど出ています。運賃は250フォリント(≒85円)で、現金払いです。

硫黄泉の湖で新感覚の温泉を楽しもう!

ハンガリーに行くならぜひ訪れてほしい、「ヘーヴィーズ温泉湖」。毎秒400L以上湧き出しており、2日程度で湖の水がすべて入れ替わってしまうほどの湯量を誇ります。これほど大きな「源泉かけ流し」のお風呂は世界中を探しても他にないのではないでしょうか。

石器時代から人間が利用した跡がある、非常に長い歴史をもつヘーヴィーズ温泉湖は、今もその効能を求めて多くの療養客が訪れています。

ハンガリーの首都ブダペストは、ヨーロッパ最大の温泉都市。そしてその200km先に、世界でも珍しい温泉の湖があります。しかもしっかりとした硫黄泉! ハンガリーの温泉の奥深さに、すっかり惹きつけられました。

★ヘーヴィーズ公式チャンネルで動画を公開しています。

「ヘーヴィーズ温泉湖」の詳細情報

施設名 「ヘーヴィーズ温泉湖(Hévízi Tófürdő)」
営業時間 9時00分〜18時00分
定休日 無休
利用料金 3時間券 3,200フォリント(学割2,700フォリント)
4時間券 3,900フォリント
1日券  5,500フォリント など
アクセス ブダペストから国鉄または高速バスでケストヘイへ
路線バスに乗り換えてHévizで下車、徒歩5分
URL https://www.heviz.hu/en/

※料金や日本円への換算レートは2020年3月現在のものです。

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