夏の台湾を涼しく楽しむ穴場の温泉|20℃の炭酸泉に挑戦!「蘇澳冷泉」の水着不要の貸切風呂&共同浴場

台湾は世界有数の温泉天国! 台北市内の北投温泉のような手軽に楽しめる温泉リゾートから、山奥の秘湯温泉まで様々な温泉が目白押し!

今回ご紹介するのは、「蘇澳冷泉」と「阿里史冷泉」。台湾ではたいへん珍しい「冷たい温泉」で、日本でもめったにお目にかかれないシュワシュワの炭酸泉に入れます。

暑い夏も涼しく乗り切れる、台湾の穴場観光スポットに行ってきました。

下町情緒あふれる駅前通りから、いざ冷泉へ

「蘇澳(スーアオ)冷泉」「阿里史(アリシ)冷泉」は駅から徒歩圏内に温泉施設が点在しており、アクセス抜群。最寄り駅の「蘇澳駅」の前には、お店が立ち並んでいます。なんとなく下町感のあるレトロな街並みに期待が高まります!

蘇澳エリアには「金泉」と「銀泉」の2系統の源泉があり、蘇澳冷泉が金泉、阿里史冷泉が銀泉にあたります。どちらも格安かつ水着不要で楽しめるので、両方行ってみようと思います。

まずは「金泉」蘇澳冷泉に。貸切風呂で炭酸泉をじっくり堪能

駅前の商店街を横切り、案内看板に沿って10分ほど歩くと「蘇澳冷泉公園」に到着します。2019年6月に訪れたときは改装工事が行われていましたが、冷泉には入れます。

貸切風呂の利用料金は、1人150台湾ドル(約530円)で2人から4人までのグループは一人100台湾ドル(約350円)です。なぜ一人での利用だけ高いのだろう? と思いながらも、チケットを購入。

チケットの右上をちぎって渡され、冷泉風呂に案内されました。なぜ一人だと割高なのか? その謎が解けました。

貸切風呂で冷泉に入るためでした。

僕が訪れたのは日曜日でしたが、時間帯のためかお客さんの姿はまばら。こんなに空いていてのんびりお風呂を使えるのはありがたい限りです。まさに「穴場スポット」ですね!

お風呂は一人で入るにはかなり広くて、3、4人で入っても広々過ごせそうです。

一見温かそうに見えるかもしれませんが、湯船を満たしているのは約20℃の炭酸泉。湯気がまったくなく、完全なる水風呂です。

利用時間は一組30分。水風呂がニガテな僕は「水風呂に入るのに30分もいるのかな?」とついつい思ってしまいましたが、とりあえず挑戦です。

 

お風呂を利用するときは、扉に利用中の札をかけたうえで、内側から鍵をかけるため安心です。大きな棚も中にあるので、荷物が多くても大丈夫。

係のおばちゃんが「外で靴を脱いでね」とジェスチャーしたので、僕は靴を脱いで浴室に入りました。

「なぜ靴を外で脱ぐのだろう?」こんなところにも疑問をもったのですが、その謎はお風呂に入ってみて解けました。

 

「ザバアァァァァーーーーーッ!」

僕がお風呂に入った途端に勢いよく流れだす炭酸泉。靴を浴室の中で脱いでいたら、水没していたことでしょう。おばちゃんありがとう、と心の中でつぶやきます。

(寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い……!)

水風呂がニガテな僕は心の中で叫びまくっています。でも不思議、5分くらい入ってあがると、身体の中がじんわりと暖まってきたのを感じました。

もうちょっといけるかな? と思いもう一度入りなおすと、身体がポカポカしているため今度は気持ちよく楽しめました。

炭酸泉が湯船の底の砂利の隙間から湧き出しているので、新鮮な泡が全身にくっつきます。1分もつかっていれば、全身泡だらけに。ちょっと身体を動かすと、肌についた細かな泡がサワワーーッ……と水面に浮かんできます。

「金泉」という通り、冷泉はほんのり鉄の味がしました。有馬温泉の銀泉や長湯温泉などを彷彿とさせる、やや酸っぱめでほんのり鉄の味がする炭酸泉でした。
※蘇澳冷泉は飲泉の許可がないのでご注意を。ちなみに有馬や長湯には飲泉できる場所もあります。

 

お風呂に出たり入ったりを繰り返して気づいたことは、水の新鮮さ。炭酸のジュースと同様に、炭酸泉もぬるくなったらガスが抜けてしまいます。冷たいまま楽しむのがポイントなのです。しかもここのお風呂は水の入れ替わりが早く、超新鮮な極上の炭酸泉で満たされています。僕がお風呂をあがって1分もすれば再び湯船が満タンになるほど、気前よく冷泉が注がれています。

鉄分を含む温泉が赤褐色になるのは、鉄分が空気にふれて酸化するため。湧き出した瞬間は実は無色透明です。水風呂に入っていて、「金泉」と言いながらも水が無色透明な理由がわかりました。炭酸泉が酸化するのを待たずに流れ出ていくので、お風呂の中は常に透明に保たれているのです。

気がついたら利用時間の30分もあと少しで終わり。慌てて着替えてお風呂を出るころには、水風呂にずっと入っていたことを忘れてしまうほど身体がポカポカしていました。

「蘇澳冷泉」の詳細情報

施設名 「蘇澳冷泉個人湯屋」
住所 宜蘭縣蘇澳鎮冷泉路6-4號
電話番号 (+886)-3-996-0645
営業時間 閑散期(10~5月)9時30分~15時30分
繁忙期(6~9月)9時30分~19時30分
定休日 閑散期:木曜(繁忙期は無休)
利用料金 1人150台湾ドル、2人200台湾ドル、
3人300台湾ドル、4人400台湾ドル
アクセス 台湾鉄路「蘇澳駅」から徒歩7分
URL http://welcome2suao.com.tw/

※蘇澳冷泉には加温しているお風呂がありません。心臓の弱い方、幼児、お年寄りなどは体調と相談して利用してください。

「銀泉」阿里史冷泉の共同浴場は水風呂オンリー!地元の人は我慢強い

「蘇澳冷泉」の貸切風呂を満喫した後は、すぐ隣の「阿里史(アリシ)冷泉」へ。歩いて5分ほど離れたところにある「阿里史冷泉」では、蘇澳冷泉とは少し異なる「銀泉」の炭酸泉に入れます。

こちらは共同浴場とプールの2つがあり、入浴料金は70台湾ドル(約250円)。このお値段で両方入れます。

コンクリート造りの共同浴場は、うっかりしていると見逃してしまいそうです。地元の人以外はあまり共同浴場を利用しないようで、番台のおばちゃんは僕が共同浴場に行きたいと言うと笑って見送ってくれました。

日本とちょっと違う!阿里史冷泉の共同浴場事情

男女別に分かれた入口から入ると下り階段があり、地下にシャワーブースと冷泉のお風呂があります。脱衣所はなく、地元の人は手ぶらで来てサッと服を脱いでそのままお風呂に入っていきます。僕は階段で服を脱ぎました。

お風呂はとても広く、30人くらい入ってもゆったり使えそう。僕が訪れたときは地元の人が5人くらいいました。みんなかけ湯をせずにザバザバと入っていくので僕もそれにならってエイヤッと身を沈めます。

(寒い寒い寒い寒い……)

立て続けに炭酸泉に入るとさすがに寒いです。10分くらい浸かっている地元の人もいますが、僕には無理そうです。3分くらいであがることにしました。

阿里史冷泉には冷泉プールも!

共同浴場の目の前に、炭酸泉で満たされたプールもあります。プールの入口におばちゃんがいて、共同浴場とプールの共通利用券を売っています。

入口に荷物を置いて、50mほど離れたところにあるシャワー室に水着を持参し、着替えます。とても清潔で安心して着替えられました。

プールはかなり広く、幅5m、長さ25mくらいはあるのではないでしょうか。子どもたちは水鉄砲で遊び、おじいちゃんは水の中で運動をしていました。

僕は本日3湯目の炭酸泉で、さすがにつらくなってきました。寒い寒い……とつぶやきながら全身浸かってすぐにあがることに。もっと暑いときに友達と訪れたいと思いました。

「阿里史冷泉」の詳細情報

施設名 「阿里史冷泉公共浴室」
住所 宜蘭縣蘇澳鎮冷泉路6-4號
電話番号 なし
営業時間 8時00分〜22時00分
定休日 なし
利用料金 全票(一般)70台湾ドル
半票(値引)40台湾ドル(65歳以上または身長130cm未満の子ども)
(蘇澳町民と、障がい者とその介助者は無料)
アクセス 台湾鉄路「蘇澳駅」から徒歩約5分
URL http://welcome2suao.com.tw/

冷泉でも風呂上がりのビールは美味い!

蘇澳冷泉の最寄り駅「蘇澳駅」は、台湾鉄路の本線から外れた盲腸線の駅です。そのため列車の本数が少なく、1本逃すと大変なことになってしまいます。少し早めにお風呂を出て、列車の時間までのんびり駅前で過ごしました。

駅前で台湾名物の「葱抓餅」を売っているお店を発見して、買うことにしました。1枚30台湾ドル(約110円)からという安さも魅力です。

駅前のコンビニでビールを買い、駅に向かいます。ピンク色のかわいい駅舎です。

おばちゃんが1枚1枚鉄板で焼き上げた葱抓餅は、モッチモチで絶品。ビールともよく合います。

温かい温泉で火照った身体をビールでクールダウンするのも気持ちいいですが、冷泉で冷えた身体にアツアツの葱抓餅をビールで流し込むのもまた一興。最後まで楽しい台湾温泉巡りでした。

蘇澳冷泉のアクセスは鉄道が便利

蘇澳冷泉があるのは、台湾東部の宜蘭(イーラン)県。台北から80kmほど離れているため、鉄道でのアクセスが便利です。蘇澳駅は盲腸線に位置するため、本線の「蘇澳新駅」で各駅停車(区間車)に乗り換える必要があります。

全席座席指定制の特急「普悠瑪(プユマ)号」を利用して約2時間30分、自由席もある急行「自強(ツーチャン)号」などを使うと約3時間です。

参考リンク
台湾鉄路管理局(鉄道の時刻調べ)

炭酸泉(二酸化炭素泉)についてもっと詳しく

温泉天国台湾をめぐるレポート記事

外国の温泉に行きたい!