日本は3000以上の温泉地をもつ「温泉大国」です。
しかし、温泉があるのは日本だけではありません。お隣の国・韓国にも温泉があるのです。
古くから温泉が楽しまれてきた韓国で、温泉文化を楽しんできました。
目次
1300年の歴史を誇る「温陽温泉」
今回訪れたのは、ソウル近郊にある「温陽温泉(おんようおんせん)」。韓国語では「オニャンオンチョン(온양온천)」と発音します。
この温泉地は、1300年の歴史を誇るというのですから驚きです。
「日本三大古湯」とされる兵庫県の「有馬温泉」や、愛媛県の「道後温泉」が文書に出てくるのが1400年前ですから、日本と比べても相当の歴史をもっていることがわかります。
実際に温泉地として機能するようになったのは、600年ほど前だとされています。それ以来、朝鮮王朝の国王たちにも愛されてきました。
ソウルから特急で楽々アクセス
そんな「温陽温泉」があるのは、ソウルの南にある「牙山(アサン)」市です。ソウルからは通勤電車でも行けますが、特急で行くのがおすすめ。
特急が発着するのは、ソウル駅ではなく「龍山(ヨンサン)」駅。ソウル駅から、地下鉄で2駅です。

特急列車の名前は「セマウル号」。温陽温泉駅まで8800ウォン(約900円)です。全席指定席で、確実に座って移動できてこの値段は、とっても安いですよね。龍山駅から温陽温泉駅まではおよそ2時間で到着します。

温陽温泉駅には観光案内所があり、日本語を話すスタッフも。
おすすめの温泉を尋ねると、親切に教えてくれました。さっそくガイドマップを片手に、温泉街へ繰り出します。
温泉は地元の人の憩いの場
温陽温泉にはたくさんのホテルがあり、迷ってしまいます。
そこで、観光案内所の人に「安くていい温泉はありませんか?」と聞いてみたところ、「清州温泉」を教えてもらいました。

駅から歩いて5分ほどのところにある清州温泉は、入浴料4,000ウォン(約420円)。
中はレトロな雰囲気で、地元のお年寄りがたくさん来ていました。番台で入浴券を買って、脱衣所の入り口にいる係の人に渡すシステムのようです。ホテルに併設されている温泉で、宿泊することもできます。
ロッカーは広くて鍵もかかります。旅行客にはとてもありがたいですね。
韓国の温泉マナーは?
韓国の温泉マナーは、タオルを持たずにお風呂に入ることです。
清州温泉をはじめ、多くの入浴施設では、大浴場と脱衣所の間にタオルが置いてあるので、お風呂を上がったときに体をふくだけでいいのです。
何も持たずにお風呂に入るのは、はじめは少し戸惑いますが、慣れれば気になりません。
韓国では、かけ湯だけではなく、先に体をよく洗ってから入るのがベター。体をしっかりと洗ってお風呂に入ります。
真ん中に8の字型に置かれた2つの湯舟がありますが、みんな片側にしかいません。とりあえずそちらに入ってみました。少し熱いくらいのお湯で、とろみも感じます。クセのないお湯なのでじっくり入っていられそうです。
気になる、誰も入らない方の湯舟も挑戦しました。驚くほど熱くて、30秒で撤退。湯口はこちら側にだけあるので熱いのも当然です。
亀の形をした湯口で、口の部分から勢いよくお湯が出ています。ジャバジャバあふれるかけ流しのお湯に感激。韓国で源泉かけ流しの温泉に出会えるとは思ってもいませんでした。
そして、湯口の亀には帽子のようにアルミのコップが被せてあります。飲泉できるという意味だろうと思って、新鮮なお湯をコップに入れて飲んでみることに。ミネラルの味を感じる美味しいお湯です。まろやかな飲泉は、心も落ち着きます。サウナや水風呂なども体験して、上がることにしました。

「清州温泉」の施設情報
施設名 | 清州温泉(청주온천) |
---|---|
住所 | 牙山市温泉1洞86-16 |
電話番号 | (+82)41-546-2151 |
営業時間 | 5:00~19:30 |
アクセス | 温陽温泉駅から徒歩5分 |
料金 | 大人4,000ウォン、子供2,000ウォン円 |
絶品500円ランチに舌鼓
一っ風呂浴びて体が温まったところで、お昼ご飯を食べようと温泉街を歩いてみました。

清州温泉からほど近い「マウル(村:마을)」に入ってみることに。残念ながら私は韓国語がまったくわからないので、メニューもわかりません。店主のおじさんに、スマホの翻訳機能で「おすすめをください」と頼むことに。オフラインでも、翻訳が使えると便利ですよね。
7,000ウォンから8,000ウォンのメニューが並ぶ中、おじさんが指差したのは、端にあった5,000ウォンのもの。一番安いのでいいのかな?と思っていたら、予想を上回るものが出てきました。

味噌汁とたくさんのおかずがついた「韓定食」は、5,000ウォン(約520円)でこのボリューム。一汁三菜ならぬ、「一汁七菜」です。日本のワンコインランチもびっくりです。どれもご飯が進む味つけで、一口ずつ色々な味を楽しめます。
家によって味が違うというキムチは、酸味が効いたタイプ。甘辛く煮た練り物の後に食べると、味が変わってさらにご飯がほしくなります。豆苗のコチュジャン和えはシャキシャキしていていいアクセントに。グラグラ沸騰した状態で出てきたアツアツの味噌汁は、豆腐とアサリが入っていました。ピリ辛で体の芯から温まります。
本場の韓国料理に舌鼓を打っていたら、おじさんがスマホをもって話しかけてくれました。
「ご飯はおかわりできます」
待ってました!
内心小躍りしながら、大きく頷いて「カムサハムニダ」とお礼します。ほどなくして茶碗が空になったので、おかわりを頼みました。金属の茶碗は小さく見えますが、意外とたっぷりご飯が入っていました。ご飯2杯がちょうどいいほどの「ご飯のおとも」尽くしのランチでした。
温泉街は商店街?
お腹もいっぱいになったところで、温泉街を散策します。温陽温泉の温泉街は、観光地というよりも地元の人の日常生活の場といった雰囲気です。温泉街の東側は雑居ビルが並んでいて、西側のメインストリートは商店街となっています。

韓国の商店街はとても賑やかで、おいしそうな野菜や魚を売る店がびっしりと並んでいます。ここ温陽温泉の商店街も、素晴らしい商店街が広がっていました。
訪れたのは冬だったので、魚屋さんにはタラやカキなどがたくさん並んでいて、八百屋さんではイチゴがカゴいっぱいに売られています。ついつい買いたくなってしまうのを我慢しながら歩きました。

日本の共同浴場に似た温泉も
商店街を抜けたところに、もう1軒共同浴場がありました。「新ジョンガン(신정관)温泉」という名前です。

入浴料金は、先ほどの清州温泉よりもさらに安い3,000ウォン(約300円)。脱衣所にタオルがなく、シャワーにも石鹸がありません。日本の共同浴場と同じですね。
こちらもレトロな雰囲気が漂っています。脱衣所にはダルマストーブがあって、コイン式のドライヤーも。真ん中に一つ丸い湯舟があるほかは、シャワーと水風呂があるだけで、とても静かです。
常連さんが床で寝ていたので、僕もそれにならってひと眠り。こんなゆったりした時間を過ごせるのも、温泉の醍醐味ですよね。
海外旅行の疲れを、しっかりと癒すことができました。
「新ジョンガン温泉」の施設情報
施設名 | 新ジョンガン温泉(신정관온천) |
---|---|
住所 | 牙山市温泉洞242-18 |
営業時間 | 4:30~21:00 |
アクセス | 温陽温泉駅から徒歩5分 |
料金 | 大人3,000ウォン、子供1,500ウォン円 |
温陽温泉の魅力とは
今回訪れた温陽温泉は、ソウルから近く、日帰りで訪れることができます。
温陽温泉では、商店街や共同浴場など、韓国の人たちの日常生活を体験することができます。これは、有名観光スポットでは決して味わえない魅力でしょう。せっかく海外に来たのだから、とついついガイドブックに載っている有名どころばかりをまわってしまいたくなりますが、たまには温泉でひと休み、なんていうのもいかがでしょうか。
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