「元屋旅館」は、指宿の温泉街にたたずむ手作り感満載の湯治宿。1泊3,200円で泊まれて、自家源泉100%かけ流しの温泉に入り放題!
砂蒸し会館から徒歩5分と、湯めぐりやグルメを楽しむのにもぴったりです。
ひなびた温泉好きや一人旅好きに、是非ともおすすめしたい素敵なお宿をご紹介します。
目次
看板が目立たなすぎる、町中の秘湯宿

共同浴場のすぐ裏手にある元屋旅館。地図を頼りに路地に1本入って行こうとしたのに、宿が見つからない……。
そう思っていると小さな看板が目に入ってきました(皆さんは見つけられましたか?)。
たしかにここで合っていたんだ、と安心してチェックインしました。

南国らしく植物に囲まれた宿は、親戚の家に遊びに来たような、家庭的な雰囲気そのもの。
ご主人が手作りで建てたお宿は、DIYを重ねてとってもきれいで快適です。

この日のお部屋は角部屋の6畳間。1泊3,200円とは思えない、きれいで快適なお部屋です。
トイレやキッチンもついていて、自炊しながら長期滞在するのにもぴったりです。

お部屋にこれだけ充実した調理設備がついている湯治宿には、滅多にお目にかかれません。
新鮮な野菜や魚を買ってきて、自分で料理をするのもまた一興でしょう。
自家源泉100%かけ流しの温泉に24時間入り放題

早速温泉に行ってみると、共同浴場のような鄙びた雰囲気に、ほんのり鉄の香りが漂っています。

それにしても、青みがかったお湯が本当に素晴らしい……。
40~41℃くらいのややぬるいお湯は、キュッキュッとした手ざわりで繊細な感じがします。
丹のような小さな湯の華が漂うお湯は、まろやかさも備えており、のんびりと長湯できます。
手作りの配管には、温泉への愛が詰まっている

源泉温度は70℃ほどのため、塩ビ管を3本重ねた配管で空気にふれさせ、適温にしてから湯舟に注がれています。
湯舟の底の方まで伸びたパイプの中に源泉が落とされているのは、熱いお湯にさわってヤケドするのを防ぎつつ、熱いお湯がお風呂の表面にたまって上下で温度差が生じないようにするためでしょう。ご主人の細やかな気配りを感じ取ります。

そして極めつけは、24時間つけっぱなしの扇風機。熱いスープをふーふーと冷ましてから飲むときのような、お湯を冷ますのにぴったりの風。
年代物の扇風機がここにやってきたのは、ご主人の試行錯誤の結果なのでしょう。
※扇風機によってお湯を冷ましているのは、季節や気温によります。

湧き出したばかりの源泉が、湯舟の直前で一気に冷まされるため、ほとんど酸化せずに湯舟に注がれています。
析出物をみればわかる鉄分の濃さですが、お湯は黄金色に濁らず、でもしっかりと鉄のにおいが感じられます。
これだけ新鮮なお湯にもなかなか出会えないなぁ、と感動しました。

洗い場の配管も、手作り感満載でいとおしくすら思えてきます。湯口からのびた太いパイプがお湯で、細いパイプには「水」と書かれています。
シャワーはなく、カランのお湯と水を適宜混ぜて使う銭湯スタイル。でも、周りに人がいなければ湯舟から直接お湯をすくって身体を洗うのもおすすめです。

石鹸とシャンプーも置かれていますが、塩分や鉄分を含むお湯のため、泡立ちは悪く感じるかもしれません。
いっそ、湯治スタイルで石鹸に頼らず過ごしてみても良いかもしれません。湯上がりの肌はツルスベに感じました。
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目の前の共同浴場&バルで指宿の夜を満喫

元屋旅館のすぐ隣に立つ「元湯温泉」は、指宿市内に点在する共同浴場のひとつ。12時から21時までの営業なので、夜のうちに入っておきたい温泉です。
元屋旅館のすぐ近くなので、泉質はとても似ていますが、地元の常連さんが集まるのが共同浴場のいいところ。地元の漁師さんたちの会話に耳を傾けながら、全身がポカポカになるまでお湯につかりました。
宿から徒歩1分の「ゆのはまバル」で新鮮な魚を味わう

元湯温泉を出ると、目の前に、灯りがともった素敵な雰囲気のお店が。「ゆのはまバル」は地元出身のオーナーが営む、「湯上がりの一杯」にうってつけのお店です。

せっかくなので、「本日のカルパッチョ」をいただくことに。「ネイゴ」と「秋太郎」というどちらもはじめて聞くお魚の二種盛りです。
ネイゴはカンパチの子どもで、秋太郎はカジキのことなんだとか。さっぱりした赤身で、酸味の効いたソースによく合います。

2杯目は地元の焼酎を頼んで、本日のお刺身をいただくことに。新鮮な太刀魚のお刺身は、皮が銀色に輝いています。
コリコリとした食感の身からあふれ出す旨味を、甘い九州の刺身醤油が受け止めてくれます。地元流にみかんを絞っていただくと、甘さと酸味が加わって、より酒のツマミになった感じがします。
地元の方が「地元のスーパーで買うよりもよっぽど新鮮だよ」と言うほどの、力強いお刺身でした。
ピザや生ハム、スペアリブなど、おしゃれな洋食メニューも充実していますが、新鮮なお魚をそのままいただけるのも魅力です。
この後行った二軒目も、とても美味しかった! でも写真を撮り忘れたのでまたの機会に……。
朝風呂もやっぱり気持ちいい!

たらふく食べてぐっすり眠り、パチッと目が醒めたら朝風呂へ。

手作り感があふれる温泉ですが、本当にきれいに掃除されていて、何度入っても心地よいです。
DIY好きのご主人と、笑顔がステキな奥さんの二人三脚でやっている元屋旅館。良い温泉を多くの人に楽しんでほしいという二人の思いを、随所に感じ取ります。
温泉は24時間入り放題で、客室数もあまり多くないため、タイミングを調整すれば貸切状態になることも。

それにしても、一見すると普通の民家なのに、こんなに素敵なお宿とは……。出会えたことに心から感謝したくなります。
指宿の朝ご飯は「とりごえ百貨店」へ

さて、朝風呂でお腹がこなれたところで、朝ご飯に出かけましょう。元屋旅館があるのは、指宿の温泉街の中でも南の方。素敵な居酒屋はたくさんありますが、朝ご飯が食べられるお店はあまり多くありません。
ぶらぶら歩いていると、砂蒸し会館の目の前にレトロな店構えのお店を発見。お土産屋さんをリノベしてカフェもやっている「とりごえ百貨店」です。

朝ご飯は600円で、身体がほっとするやさしいお料理をいただけます。鹿児島らしい麦味噌のお味噌汁に、雑穀米、煮物2品。
※白いご飯も選べます。

調味料にもこだわっており、鰹節に高級な醤油をかけてご飯に載せると、元気になるほどのうま味を味わえました。

温泉卵をご飯に載せて、ごま油と糠塩で食べるのがお店の人のおすすめ。やわらかめの温泉卵からどろりと溢れる黄身に、ごま油の爽やかな香りが合わさってリッチな味わいに。
あっという間に完食して、今日の湯めぐりを気持ちよくはじめられそうです。

指宿に行ったら外せない「砂蒸し風呂」を体験できるのが、元屋旅館から徒歩5分ほどの「砂蒸し会館 砂楽」。
朝ご飯の後に見に行ったら、砂にお湯をかけて消毒しているところでした。たくさんのお客さんが訪れる砂蒸し風呂をきれいに保つ努力を感じ、ありがたみが一層増しました。

宿に戻って、最後のひと風呂。指宿の元屋旅館に泊まれば、温泉街で夜も朝も楽しく過ごせます。
そして何より、自家源泉100%かけ流しの、鮮度バツグンな温泉がたまりません。何度でも泊まりたくなる、素敵なお宿でした。
「指宿温泉 温泉宿元屋」の詳細情報
施設名 | 「指宿温泉 温泉宿元屋」 |
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住所 | 鹿児島県指宿市湯の浜5-19-4 |
電話番号 | 0993-24-2852 |
利用料金 | 1泊3,200円〜 |
アクセス | JR指宿駅から徒歩約20分、鹿児島交通「砂むし会館前」から徒歩約5分 鹿児島市街地から指宿スカイライン経由で約1時間30分 |
駐車場 | 無料 |
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