北海道弟子屈町の川湯温泉は、草津に並ぶ強酸性のお湯が湧きだす泉質自慢の温泉地。
60年以上変わらずに営業を続けている「川湯公衆浴場」では、強烈な刺激のお湯を源泉かけ流しで楽しめます。
わかし湯に源泉を少し足したぬる湯と交互浴をすれば、すっかり「ととのい」の境地に。
常連さんの手ほどきを受けながら、pH1.8のお湯を満喫してきました。
※2022年11月1日から休業中です。
目次
これに入るんですか…?45℃&強酸性→痛くて入れない

急に気温が下がった秋の夜。冷えた身体を早くあたためようと急いで服を脱いでお風呂に急行しました。

※特別な許可を頂いて、営業終了後に撮影させていただきました。湯舟の写真は女湯のものです。
湯舟は2つあって、濁りのある方が源泉100%だとすぐにわかりました。しかし手を入れてみるとビリビリと痛く、やむなく退散。
45℃はあろうかという熱さで、草津や野沢の共同浴場を彷彿とさせます。常連さんが涼しい顔をして入っていたのを見て油断していました。

もうひとつの湯舟は、真水の沸かし湯に若干源泉を加えたもの。こちらは41℃ほどとぬるめで、刺激も少なく入りやすいです。
温泉好きとしては源泉100%を堪能したいところですが、まずは身体を慣らそうとかけ湯してこちらから入ることにしました。
真湯と呼ばれているようですが、こちらでも十分硫化水素臭と金気臭を感じられます。ぬるくて快適なのであえて源泉にチャレンジしなくてもいいかと思っていたところで、常連さんが話しかけてくれました。
年齢を感じさせないツヤツヤの肌とハリのある声で、毎日温泉に入っていることを確信しました。きっとこのおじさん、タダモノではない……!
かけ湯には、身体の汚れを落とす衛生やマナー上の意味だけでなく、お湯の温度に身体を慣らすという自分自身のための意味もあるのです。
おっしゃる通りだよなぁと思いながら、桶にお湯を汲んだものの、熱すぎてザバッと浴びるのはできませんでした。心臓から遠い足先から少しずつお湯をかけていくのですが、上半身にたどりつくまで5分くらいはかかったでしょうか。
常連さんは身体を洗いながら見守ってくれました。
ようやく心臓のあたりにもおっかなびっくりかけ湯できるようになり、そこから全身に何度もかけ湯するリハーサルまでして、ようやく入る準備ができました。
いざ入湯、しかし……
足の裏がビリビリと熱くて全身入る前に撤退。もっと慣らす必要があるみたいです。
常連さんの手ほどきを受け、交互浴で「ととのい」の境地へ

そこまで無理しなくても……と思いつつも、温泉好きのプライドにかけて再チャレンジ。
なんとか全身浸かれましたが、30秒ほどで撤退。出ようとする瞬間も、出た後も、足がビリビリしました。
まさに交互浴ですね! と思いながらぬるい方に入ってみると、よりぬるく感じられます。身体を十分にクールダウンさせて、今度こそと思いながら熱い方に入り直しました。
常連さんは身体を洗い終えて、熱い方に既に入っています。
ふだんは熱いのに慣れてない人が真水を汲んで入れちゃうから、成分が濁ってしまうんだ。今日は最高だぞ~
銭湯や共同浴場のお湯は、熱く感じることも少なくありません。しかしお湯の好みは人それぞれ。熱いのが好きな方もいるから、熱く設定されているのです。
それに薄めてしまうとせっかくの成分が薄くなってしまうことも。しっかり身体を慣らして、無理なく楽しむのがベストです。
神経が集中して敏感な手のひらはお湯から出して、拝むようなポーズでつかっていました。1分くらいして全身を熱さが駆け抜けるような感じがしたのであわてて撤収しました。
酸性泉の殺菌作用は、アクネ菌による思春期ニキビの改善も期待できます。マスクで悪化したニキビを直そうと、ギュッと目をつぶって顔を洗いました。熱いお湯がほほを打つ感覚はなんともいえぬ心地よさを感じます。
くちびるのまわりに残ったお湯だけでも苦酸っぱい感じが十分に感じられます。これはすごい……と感激しました。
こんな調子で3回ほど熱いお風呂とぬるいお風呂を交互に入って、そろそろ出ようかと思っていたときに……
晩ご飯前で体力があまり残っていなかったものの、そう誘われたからには、と入ることに。ぬる湯でしっかりとクールダウンしたので、最後の1回と思って再びあつ湯にトライしました。
すると、ボーッとする奥になんだか活力が湧いてきた気がして、これが「ととのう」なのかと実感。
サウナが苦手な僕は「ととのい」を体験できないと思っていましたが、常連さんのおかげで交互浴によって達成できました。
※空腹時や飲酒後、体調不良のときなどの入浴には特に注意してください。また、お風呂に入る前と後には水分補給を心がけましょう。
なんだか感動的な気分にひたっていると、常連さんに「じゃ、出ようか」と声をかけていただきリフレッシュした気分で脱衣所に戻りました。
湯上がりのクールダウンがまた気持ちいい!

脱衣所は涼しい夜風が入ってきて心地よい空間です。

椅子にバスタオルを敷いて、クールダウンの時間がはじまりました。
20分くらい、イスに腰かけてひたすら汗をふきふき。常連さんは70代だと知って驚きました。
キノコ採りの名人だそうで、天然のシイタケの美味しさを教えてくれました。栽培されたものでもガツンと旨味を感じるので、天然モノはもっとすごいのでしょう。
足が速く市場には出回らないため、めったなことがなければ食べられないそうです。
そんなことを聞いているうちにお腹が空いてきました……。
「川湯公衆浴場」の詳細情報※2022年11月1日から休業中です。
施設名 | 「川湯公衆浴場」 |
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住所 | 川上郡弟子屈町川湯温泉3-1-7 [Map] |
営業時間 | 8時00分〜20時00分 (11~4月は9時~20時) |
定休日 | 水曜日(8月は無休) |
利用料金 | 大人250円、小人100円 |
どでかザンギ定食に大興奮!どう見てもチキンカツだけどちゃんとザンギの味

お腹がぺこぺこだったので、目に入った飲食店に直行しました。「三三五五」という居酒屋でした。
車で来たのでお酒は飲めませんが、定食メニューもあったのでひと安心。

「ザンギ」とは、北海道の唐揚げのこと。本州の唐揚げよりもニンニクやショウガが利いていて衣の味付けがしっかりしているのが特徴です。

チキンカツのような巨大ザンギの上で、大ぶりのザンギ2つがダメ押しをいています。
お酢をベースにした特製のタレにつけていただくのがオススメとのこと。箸を持つ手に重みを感じながらサクサクジューシーなザンギをタレにチョンチョンとつけ、ご飯にのせて、ワシワシと食べました。
脂っぽさもパサつきもなく、チキンカツではなくしっかりとザンギなことに感激。これで1,300円は素晴らしいです。
「味どころ 三三五五」の詳細情報
施設名 | 「味どころ 三三五五」 |
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住所 | 川上郡弟子屈町川湯温泉1-4-10 [Map] |
電話番号 | 015-483-3355 |
営業時間 | 11時30分〜14時00分、15時00分~ |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌日) |
利用料金 | 料金を入力 |
ひなびた共同浴場の趣がたまらない!

入浴したのは夜だったので、日を改めて外観を撮りに行きました。築60年以上というレトロな建物は、大きな家のようです。

下駄箱は雪道用の靴も入る大きさです。

番台の前にはソファーがあって、ゆったり過ごせます。
温泉雑誌も置いてあって、北海道の名湯を調べることもできました。

川湯温泉の泉質と効能をうたったパネルがありました。
北海道で最も酸性が強く、草津温泉や玉川温泉にもならぶ強烈な泉質です。「源泉100%かけ流し宣言」を行い、地域のすべての施設で新鮮なお湯が楽しめます。
川湯温泉の泉質についてもっと詳しく
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目の前には足湯も!エメラルドのお湯が青空に映える

硫化水素の香りが漂う温泉街。公衆浴場の向かいの「川湯園地」はきれいに整備されていて、足湯も設けられています。

湯気をあげて流れる源泉の川を眺めながら、鮮やかなエメラルドの温泉を体験できます。もちろん利用料は無料です。
いきなり公衆浴場はハードルが高いかも、と思った方は、ぜひ足湯から体験してみてください。
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