「大好きな銭湯を写真でシェアしたい!」という銭湯好きのあなたに朗報!
東京・大田区にある大正ロマンに生まれ変わった超おしゃれな銭湯「はすぬま温泉」では、年に2度ほど「撮影会」が開催されています。入場無料で、撮影とSNS投稿は自由という神イベント。はすぬま温泉は都内でも珍しい源泉かけ流しの温泉水風呂をそなえた温泉銭湯でもあって、温泉好きも必見です。
さらに、ふだんは入れない銭湯の舞台裏をのぞく「バックヤード見学会」も開催! ご主人自ら案内してくれて、銭湯のお仕事にふれられます。さらに、どこをとっても絵になるおしゃれなデザインのヒミツも! 2019年8月25日(日)に開催された「はすぬま温泉撮影会」に参加してきたので、その様子をご紹介します。
目次
入場無料で限定グッズつき!?最初から神すぎてびっくり

3回目を迎える「はすぬま温泉撮影会」は、2019年8月25日(日)の12時30分から14時30分までの2時間行われました。この2時間のあいだ、銭湯全体が撮影したい人のために開放されます。
この日はすっきりした雨上がりの空模様で、撮影にはぴったりのお天気です。

入口には「わ板」が出ていました。「わ板=(お湯が)沸いた」という粋なデザインです。
番台で挨拶をすると「撮影会に来てくれた人に缶バッジを差し上げています」と言われ、かわいい缶バッジをGET。なんと撮影会に来た人しかもらえない限定品なんだとか。

桶と手ぬぐいがかわいらしく描かれていて素敵です!
タダで撮らせてくれる上に限定グッズまでいただけるとは! 銭湯ファン大歓喜の神サービスです。
大正ロマンがたまらない! おしゃれに生まれ変わった銭湯を撮りまくる

脱衣所を素通りし、浴場の中へ。服を着たまま銭湯に入るのって人生で初めてかもしれません。
はすぬま温泉のシンボルともいえる大きなタイル絵がお出迎えです。
これこれ、これですよ! 深山幽谷の世界を見事に表現した大きな滝の絵を撮影できる日がついにやってきた喜びをかみしめながら、撮影スタート。

正面からも1枚。源泉かけ流しの水風呂の水面が、ステンドグラスを通して入ってくる日の光にゆらいで輝いています。その向こうに山と滝。

ライオンの口から注がれる新鮮な源泉に、ついうっとりとしてしまいます。
あぁ、今すぐ入りたい! ところですが、撮影中の入浴は禁止。15時のオープンまでお預けです。
男湯も女湯もこの日だけは入り放題! へぇ、隣はこうなってたのか

はすぬま温泉は2017年12月にリニューアルオープンし、昭和レトロな温泉銭湯から大正ロマンをモチーフにした新しくておしゃれな温泉銭湯に生まれ変わりました。
大きな滝のタイル絵と並んで目を引くのが、洗い場に掲げてある5枚の新しい日本画。四季折々の自然を鮮やかに表現した絵はどれも美しくて見入ってしまいます。
「女湯にも行っていいですよ」と言われたので、女湯の日本画も見てみることにしました。
「そうか、撮影会なら女湯も入れるのか」と妙に感心してしまいました。いつもは見られないところを見られるのが撮影会の醍醐味です。

男湯と女湯では、絵が異なっていたのですね! 今までずっと知りませんでした。撮影会に来たい人しか見られないと思うとニヤニヤしてしまいます。ちょっと得した気分です。

男湯と女湯では、正面のタイル絵も異なっていました。女湯には優しい雰囲気の滝が2本描かれています。
切り立った岩肌が木々の向こうにのぞいている男湯と異なり、背景もどこか穏やかな印象を抱きます。

女湯の脱衣所は……男湯と左右対称でした。
はすぬま温泉は冷房がよく効いていて、真夏でも湯上りに一息つけるのがうれしいところです。畳の椅子が少し高めになっているので、ひざや腰の痛むお年寄りも楽に座れ、安心して靴下を履けるようになっています。
バックヤード見学会も!ご主人自ら裏側を案内

ひと通りお風呂での撮影を終えて休憩スペースに戻りました。

休憩スペースでは、はすぬま温泉オリジナルのグッズが売られています。タオルは230円、Tシャツは1,200円、缶バッジにいたってはなんと100円と、信じられない安さです。
白や水色のTシャツは温泉グッズとしては珍しいので気になります。買っちゃおうかな~と思って見ていると、ご主人が登場。
これね、ずいぶん安くしているんですよ。缶バッジなんか足が出ちゃってるの。
えっ、いいんですかそれ!?
いいんです。うちのファンになってもらった人たちに気軽に買ってもらいたいからね。
それに、Tシャツを着てくれたら宣伝にもなるでしょ?笑 お風呂あがりにTシャツを買って、そのまま着て帰る人もいるんですよ。
なるほど! 着て帰りたくなる気持ちがわかります。
さぁ、まもなく「バックヤード見学会」を始めまーす!
なんと今回の「はすぬま温泉撮影会」は、ご主人自ら銭湯の裏側を見せてくれるバックヤード見学会も行われています! 銭湯好きとして参加しないわけにはいきません。
あっという間に10名ほどの常連さんが集まり、バックヤード見学会スタート。一行はまず外に出て、銭湯の心臓部ともいえるボイラー室へ。

これがお湯を沸かすガスボイラーです。うちでは電気もこのガスボイラーで自家発電しているんです。灯りや冷蔵庫の電源などは、すべてここでつくられる電力で賄われています。
停電しても銭湯はすぐに復活できますね。
そうなんです。大地震が起こっても、うちに来れば電気が使えます。
東日本大震災をきっかけに、災害時の拠点としてうちを使ってもらえるよう大田区と提携を結びました。水や食料、毛布なども備蓄しているので、避難所にもなります。

お風呂屋さんをやるだけではなく、地域に貢献することが、銭湯の重要な役割だと思っています。

震災といえば、煙突も大きく変わったんですよ。昔は23mあったのですが、地震で倒れたら危ないということで10mに切っちゃいました。今はガスボイラーなので煙突は必要ありませんが、銭湯のシンボルとして残してあります。NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』の梅ちゃんが煙突を目印に銭湯を見つけるシーンで、うちが出ています。

ここが源泉です。地下100mから湧き出しています。水道代がかからないということで、昔から自前の井戸水で銭湯をやるところが多かったんです。戦後の温泉法で冷たくても成分が基準を満たせば温泉になることが決まり、うちも温泉になりました。肌がツルツルになる美肌の湯ですよ。
はすぬま温泉は創業80年の老舗で、ご主人が3代目だそう。毎日温泉に入っているため肌がきれいで、70歳とは思えない若々しさです。

これは炭酸風呂のためのガスです。600kgの炭酸ガスが3日でなくなります。

1000ppmの炭酸濃度を維持するために、この機械で常に炭酸ガスを送り込んでいます。この機械は600万円したんですよ。
ろ、600万円……! 気持ちいいお風呂を作るにはお金がかかります。

一行はさらに進んで、巨大な機械が並ぶゾーンにやってきました。配管がいっぱいあってなんだかワクワクします。

これは温度を自動で調節してくれる最新式の機械です。リニューアルのときに思い切って買いました。休みの日でも自動で管理してくれるので助かっています。
この機械を導入する前はどのように温度を調節していたのですか?
全部手作業でした。浴槽ごとにバルブが分かれていて、一つひとつ手作業で調節しなければなりませんでした。
もちろん今でも苦労がなくなったわけではありません。私も温泉旅館でアルバイトをしたことがあるのでなんとなくわかりますが、大きなお風呂を掃除するのは力仕事です。
おしゃれな銭湯のヒミツをご主人が解説!あのタイル絵にも秘密が?
撮影OK!ペンキ絵がお風呂にない理由

一行はふたたび銭湯の中へ。時刻は14時をまわり、15時の開店に向けてスタッフの方々がお風呂場の掃除をはじめました。
休憩スペースには、日本で3人しかいないペンキ絵師の丸山清人氏によって描かれた富士山のペンキ絵が飾られています。
ふつうペンキ絵と言ったら、お風呂の壁にあるでしょう。でもうちは、お風呂の外に飾っているんです。
撮影したいじゃないですか、やっぱり笑。それでお客さんに撮ってもらおうと思って壁の大きさに合わせてペンキ絵を作ってもらいました。
丸山先生の作品をこんなに近くで見られるのも、休憩スペースにあるからこそ。近くで見ても繊細なタッチで、一気に描き上げているとは思えません。
ペンキ絵の隅にいる「ゆっポくん」はどうしたのですか?
ゆっポくんは頭に手ぬぐいを載せている白い子です。東京都浴場組合の公式キャラクターで、銭湯めぐりが趣味なんだとか。
あぁ、これは銭湯評論家の町田忍さんが描き足したんです。ちゃんと丸山先生の許可をとってね。
町田忍さんは銭湯文化協会の理事を務める銭湯マニア。全国の銭湯をめぐっていて、本も出版しています。
ゆっポくんだけなんかタッチが違うから気になってたんですよ。味がありますよね笑。
うん、味がある笑。
確かにタッチが違う! はすぬま温泉に来るたびに、僕も気になっていました!「丸山先生ってゆっポくんも描いちゃうのかな?」と思っていましたが、違いました。
さあ、いよいよのれんをくぐります。
とことんこだわった内装にびっくり!特注品も

建物はすべて自然のもので内装しています。木と漆喰を主に使っていて、化学物質は使っていません。化学アレルギーの人も安心して来てもらえると思います。
天井も全部木と漆喰です。昔ながらの「格天井(ごうてんじょう)」に合わせて、照明も木製のものをオーダーメイドしました。
そんなところにもこだわりがあったとは! 漆喰の自然な白が木の格子とよく合っています。

あの湯口は滝つぼをイメージしています。鯉の滝登り伝説にちなんで鯉が彫られています。滝が滝つぼに流れ込んだ延長にお風呂があるというイメージです。1400kgもして、運ぶのには本当に苦労しました。
なるほど、滝つぼをイメージしていたのか! おだやかな内装の中で異彩を放つ大きな石の湯口も、はすぬま温泉のシンボルです。
写真を撮り損ねてしまったのですが、滝のタイル絵の反対側壁にも秘密が隠されています。
そして、お風呂から反対側を向くと、青い山並みが眺められるという仕掛けになっています。ゆったりした気分を味わってほしいですね。

シャワーの上の絵は、Gravity Free という絵画作家さんに描いてもらいました。春、夏、秋、正月、冬という5つの季節をイメージしていて、男湯と女湯で違うんですよ。
鏡の横にある棒は、座ったり立ったりするときに掴まれるように設計しています。うちのオリジナルで、力をいれやすい角度を研究して特注しました。タオルやおふろバッグをかけるのにもいいと思います。
あのタイル絵に隠された秘密!?職人の手仕事に感嘆
ところで、このタイル絵は何枚のタイルでできているのですか?
3,800枚です。40年前に岐阜のタイル屋さんで特注しました。リニューアルのときも残したんです。
タイル絵を作ったのが私たちの代になったときのことで、今回の改装は次の代に対して私たちが最後にしてやれることだと思います。
40年も続けてこられたのですね。はすぬま温泉のシンボルであるタイル絵は、次の代にも残るご主人たちの想いの結晶でもあります。
そうそう、このタイル絵には1ヶ所だけ間違いがあるんですよね。
そうなんです。岐阜の工場から送られてきたタイルを私たちが1枚1枚手作業で貼っていったのですが、1枚だけ向きを間違えてしまいました。
いきなり始まった間違い探しタイム! 常連さんのヒントで、僕も見つけられました。
そういえば、以前来たときも、1ヶ所だけ違和感を感じていたのですが……常連さんの眼にはかないません。
ここでは「間違い」の場所を書きませんので、実際に訪れてお風呂に入りながら探してみてください。「間違い」は男湯にあります。

これが原画です。雑誌に載っていた写真をもとに油絵にして、タイル屋さんに「これをもとにお願いします」って頼みました。タイルは1枚1枚手で絵付けされていて、近くで見れば筆の痕もわかりますよ。
男湯と女湯で別の滝をモチーフにしています。どこの滝かわかりますか?
おそるべし職人魂! 3,800枚ものタイルに絵付けをして焼き上げた岐阜の職人さん、流石です。
そしてタイル絵のモチーフとなった滝は、常連さんが即答していました。恐るべし常連パワー。

それからこのステンドグラスも、今じゃ作れないですね。昔のものがある工場に残っているというので、すべて買い上げて使うことにしました。もう替えはないと言われていたので、1枚でも割れたら足りなくなるというプレッシャーの中、頑張って切って貼りました。
やわらかな日の光が差し込む素敵なステンドグラス。僕は夜にしか来たことがなかったので、昼間の美しさに思わずうっとりとしてしまいました。
「銭湯って楽しいところなんだよ」神イベントに込めたご主人の想い

床のサイネージはね、うちにしかないですよ。人の動きに合わせて魚が泳ぐようになってる。11層のレイヤーを重ねてあって、結構凝ってるんですよ。
そして、季節ごとにレアキャラが出るようにしています。10分に1回ぐらい出てきます。この季節は桃に乗った桃太郎ですね。子どもたちに楽しんでもらいたいと思って笑。
レアキャラ、さっき見ました! すぐに流れてしまったので撮影はできませんでしたが、桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。秋はまた別の “レアキャラ” が出没するそう。子どもも大人も飽きさせません。
撮影会をはじめたきっかけを教えてください。
「銭湯は楽しいところなんだよ」って知ってほしくて。普段だったら入れない女湯やバックヤードにも入れて、ちょっとワクワクするじゃないですか。こういう楽しい体験をして「銭湯に行きたいな」と思ってもらいたいです。
どこを見ても美しく、改装の際には写真映えも意識されたのかな、と感じました。お風呂を撮影したいという声も多かったのですか?
やっぱりそうですね。撮影会は好評です。改装してから若いお客さんも増えました。若い人たちにどんどん発信していってほしいですね。
はすぬま温泉といえば、Twitterでの積極的な発信もファンの心をつかんでいます。娘さんが運営していらっしゃるそうで、素敵な写真や銭湯情報は必見です!
今日は天気がいいので綺麗に反射します✨#はすぬま温泉撮影会 pic.twitter.com/UXd550YKnY
— 大田区 蒲田 はすぬま温泉 (@hasunumaonsen) August 25, 2019
今日はありがとうございました! とても楽しかったです。
ご主人のお話も記事にしていいですか?
もちろん! どんどん発信しちゃってください!
ありがたいお言葉をいただき、無事記事にすることができました。この場を借りてお話を伺ったご主人とスタッフの方々にお礼申し上げます。
撮影のあとは温泉でサッパリ!一番風呂は最高に気持ちいい

撮影会を終えてひと息ついていると、もう15時。開店の時間です。
一番風呂を楽しみにしている常連さんたちが外で並んでいるので、開店待ちの列が途切れてから入ることに。
撮影会に参加して銭湯には入らずに帰るのももちろんOKですが、おしゃれな浴場の写真を撮ってご主人のお話を聞いた後だとやっぱり入りたくなってしまいます!
とろみのあるまろやかな温泉水が気持ちよく、加温してある湯船と源泉かけ流しの水風呂とを何度も行き来して温冷交互浴を満喫しました。シャンプーとボディソープが備えつけてあるのもありがたい限りです。
日の高いうちにお風呂に入ると最高に幸せになれます!
一番風呂を求めてやって来た常連さんたちでにぎわうお風呂を見て「人がいてこそ銭湯らしい情緒が出るなぁ」と感じました。にぎわう銭湯の日常感に、なんとも落ち着きます。
身体がポカポカと暖まった状態で日射しが和らいだ夕方の街を、はすぬま温泉の感動をかみしめながら歩いて帰りました──最寄り駅から徒歩2分なのですが。
「はすぬま温泉」の詳細情報
施設名 | 「はすぬま温泉」 |
---|---|
住所 | 東京都大田区西蒲田6-16-11 |
電話番号 | 03-3734-0081 |
営業時間 | 15時00分〜24時00分 |
定休日 | 火曜日 |
利用料金 | 大人500円、小人200円、幼児100円 サウナ300円(タオル付) |
アクセス | 東急池上線「蓮沼駅」から徒歩2分 |
URL | 1010.or.jp/ |
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