大正レトロの鄙びた旅館で鉄分たっぷりの真っ赤な湯を堪能!湯の網温泉 鹿の湯松屋【茨城県北茨城市】

山里にポツンと建つレトロな鉱泉宿は、ひなびた温泉好きにはたまりません。どこか懐かくてあたたかい雰囲気とこだわりのお湯、そして伝統。

そんな温泉が、茨城県 北茨城市にありました。その名も「湯の網温泉 鹿の湯 松屋」。鉄分を含んだ真っ赤なお湯が、ステンドグラスごしのやわらかな光に映えます。

全身がポカポカと暖まる、知る人ぞ知る名湯をご紹介します。

まるで実家に帰ってきたよう!昔懐かしい応接間にワクワク

「鹿の湯 松屋」に着いたのは、すっかり日が暮れた夜19時半ころ。日帰り入浴にギリギリ間に合う時間でした。

女将に挨拶をして、受付します。日帰り入浴の料金は1人700円。1組45分以内で、20時15分にお風呂を閉めるため、本当にギリギリでした。19時半が受付終了時刻です。

北茨城市の観光パンフレットも並んでいて、旅の情報収集にぴったり。まるで親戚の家に遊びに来たかのようなアットホームな雰囲気です。

玄関には柱時計が掛けられていて、伝統を感じました。もちろん現役で動いています。

真っ赤なお湯がステンドグラス越しの光に映える!

お風呂は中庭に面したところにあり、男女共用(男湯or女湯or貸切湯を切り替える仕組み)です。

早速服を脱いで扉を開けると……幻想的な空間が広がっていました。

夜になるとステンドグラスの窓の外からライトが当てられ、なんともいえない雰囲気になります。

水辺で憩う鹿たちを描いた壁画も、おとぎ話の世界のようで見ていて癒やされます。

お湯は見事に濁った赤褐色。鉄分の匂いがガツンとして、キシキシとした手触りも特徴的です。

湯舟の底には、わずかながらジャリジャリとした沈殿物が溜まっていて、成分の強さを実感します。床も壁も赤褐色に染まり、歴史の長さも感じさせます。

冷鉱泉なので加温されていますが、蛇口をひねると冷たいままの源泉が出てきます。口に含むと鉄臭さの奥にほんのりミネラル味もありました。

源泉は透明だったので、加温して空気に触れることで赤褐色になるのでしょう。ここまで鮮やかな色も珍しいです。含鉄泉自体が全国的に珍しいので、貴重なお湯に出会えて嬉しくなりました。

※この温泉は飲用できません。

お湯に5分も浸かっていれば、額に玉のような汗が浮かんできます。半身浴モードに切り替えて小休止。

花が飾られていて、女将の細やかな心遣いにほっこりします。

その下の「効能」には、「脳、神経衰弱、神経痛、リウマチ、胃腸病」とあります。

この温泉の泉質は、見ての通り含鉄泉。浴用の適応症はありませんが、温泉で身体を暖めることでストレスや筋肉痛・胃腸の不調を緩和してくれることが期待できます。

「脳」「神経衰弱」とあるのも、ストレスに良いことを意味しているのではないでしょうか。

含鉄泉について

 

擦りガラスもすっかり見かけなくなりました。窓枠のパターンがなんともかわいらしく、そして浴室にやわらかな光を届けてくれます。

浴室の中には写真右上に写っているランプ1つしか灯りがないのですが、三方から窓ガラス越しに光が差し込むため問題なく温泉を楽しめました。それどころか、幻想的な雰囲気で赤褐色のお湯の色が映えて、かけがえのない思い出となりました。

湯上がりはお茶のサービス!火照った身体をクールダウン

浴室を出て、ポカポカと暖まる赤褐色のお湯の余韻に浸ります。

鉄分を多く含むお湯に浸かると、汗が吹き出してきます。

浴室の向かいの流しは、湯治宿風情にあふれていました。

応接間に戻ると、冷たいお茶のサービス。日帰り入浴を利用すると湯上がりにお茶をいただけます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で今は使い捨て容器で提供しているようです。温泉に浸かると、自分が意識している以上に水分を失ってしまうものです。入浴後の水分補給とクールダウンができてありがたい限りです。

今回は日帰り入浴を利用しましたが、宿泊するとキンキの塩焼きが味わえるそう。鹿の湯 松屋がある北茨城市はアンコウの名産地で、宿泊者には近くで揚がった新鮮な魚介類を提供しています。

今度は泊まりに来ることを誓って、すっかり夜のとばりが下りた山里を、帰路につきました。

「湯の網温泉 鹿の湯松屋」の詳細情報

施設名 「湯の網温泉 鹿の湯松屋」
住所 茨城県北茨城市関南町神岡下1435
電話番号 0293-46-1086
日帰り
営業時間
8時00分〜20時15分
(最終受付19時45分)
定休日 火曜日(祝日を除く)
利用料金 日帰り入浴:1人700円
宿泊:1泊2食付き7,500円~
アクセス 常磐道「北茨城IC」「いわき勿来IC」から車で約15分
JR常磐線「大津港駅」からタクシーで約10分
URL https://www.jsdi.or.jp/~yunoami/

 

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