温泉の循環濾過(ろか)の仕組み|源泉かけ流しとの違いは?

皆さんは、循環ろ過式の温泉とかけ流し式の温泉の違いをご存知ですか?温泉宿や入浴施設を選ぶ際には、ぜひ大切にしてほしいポイントです。両者のメリット・デメリットをきちんと把握し、次回の温泉選びの参考にしてみてください。

循環ろ過式の温泉とは?


循環ろ過式の温泉とは、ろ過装置によって浴槽の中のお湯を常に循環させながらろ過器に通すことで清潔な状態を保っている温泉のことです。つまり、常に浴槽の中のお湯をろ過用のフィルターに通している温泉ということですね!

実際には、循環ろ過だけでお湯を清潔にしているわけではなく、多くの施設では浴槽に新しい温泉水を足しながら循環ろ過もおこなう循環ろ過掛け流し併用式を採用しています。源泉から湧き出るお湯の量が豊富でない温泉のほとんどは、この方式によってお湯をキレイな状態にしているんです。

循環ろ過装置の構造と仕組み


入浴施設にある循環ろ過装置は、循環ろ過させることで浴槽の中の温泉水を清潔な状態に保つことを目的に設置されています。基本的な循環ろ過装置は、浴槽水を循環させるためのろ過ポンプとお湯を綺麗にするためにろ過処理をおこなうろ過器、レジオネラ菌を塩素殺菌処理するための塩素注入装置、そしてお湯を温め直すための熱交換器が一体になっもの。

ろ過ポンプによって浴槽から循環ろ過装置に吸い込まれた浴槽水は、まず髪の毛や大きなゴミを取り除くための集毛器を通過します。続いて、ろ過器でろ過され熱交換器で温められた後、再び浴槽に戻されるというのを繰り返しているんです。

また、浴槽の中のお湯を循環し続けていると、肺炎などを引き起こすレジオネラ菌という最近が繁殖してしまします。そのため、ほとんどのろ過装置本体には循環途中の浴槽水に塩素を投入する塩素注入装置がついているんです。いつも何気なくつかっていた温泉のお湯は、このようなろ過システムによって綺麗にされていたんですね!

循環ろ過式と源泉かけ流しの違い

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循環ろ過することで浴槽の中のお湯を清潔な状態をたもっている循環ろ過式の温泉に対して、源泉かけ流しの温泉は常に新しいお湯を足し続けることで浴槽の中を新鮮な温泉水で満たしています。循環ろ過を繰り返すと温泉の成分が薄まり、それに伴い効果効能も低下していくと言われているんです。そのため、お湯が古くならないかけ流しの温泉を好む方が圧倒的に多いのが現状です。

循環ろ過式と源泉かけ流しの見分け方


循環ろ過式の温泉と源泉かけ流しの温泉を見分けるポイントはいくつか存在します。中でも、誰にでも簡単にチェックできるポイントが、湯口から出ているお湯の温度です。お湯の温度が適温に保たれる循環ろ過式に対して、かけ流しのお湯は熱い場合がほとんどなんですね。そのため湯口から出ているお湯が適温である温泉は循環ろ過式の可能性が高いといえます。

また、あなたが温泉通であるならば、温泉成分表をチェックするという見分け方もあります。実際に浴槽へはられているお湯が、成分表に記載されている成分内容と比べてサラサラし過ぎていたり、成分表通りなら湯の花があってもいいはずなのにほとんど確認できないという場合は循環ろ過式の温泉かもしれません。

ただ、ここで紹介した見分け方はあくまで参考であり、そのお湯が循環ろ過式であるかかけ流し式であるかを確実に見分けることのできる方法ではありません。温泉の方に直接聞いてみるのがもっとも確実な方法かもしれませんね。

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循環ろ過装置を使うのは悪いこと?


浴槽の中のお湯を循環し続ける循環ろ過式の温泉と比べると、常に新鮮なお湯が浴槽にそそがれるかけ流し温泉の方が圧倒的に高い人気を誇っています。確かに、温泉本来の濃い成分を楽しむことができるかけ流し方式の温泉は魅力的ですよね。

しかし、循環ろ過方式の温泉にもちゃんとメリットはあります。源泉の湯量をそこまで必要としない循環ろ過方式の温泉は、かけ流し式温泉に必要な湯量よりもはるかに少ないお湯の量で大きな浴槽をまかなうことが可能です。また、かけ流し式と比べてはるかに少ない湯量で泡風呂や打たせ湯などのような豊富な入浴設備を整えることができ、さらに貸切風呂や露天風呂付き客室など複数の浴場を設けることもできます。つまり、循環ろ過式の温泉は施設の内容が充実しているところが多いんです!

また、かけ流しの温泉は、温度調整が難しく日毎にお風呂の温度が変わる、お湯に湯の花が混じっているのが不潔に見える、石化した成分が浴槽に付着して汚らしく見えるといったデメリットもあります。実は、温泉の質にこだわらない観光客の多くは、お湯も浴場も綺麗で写真映えのする循環ろ過式の温泉を選んでいたりもするんです。

充実した入浴設備を楽しむことができる循環ろ過式の温泉と、源泉そのまま温泉成分が堪能できる源泉かけ流し、あなたがつかりたいお湯はどちらですか?

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