温泉好きなら誰もが憧れる、秋田県の秘湯天国・八幡平。どこに行っても源泉かけ流しのお湯に入れる素晴らしいエリアです。
八幡平というと、プクプクと泡が出ている特濃濁り湯の「藤七温泉」や、ガレ場の中にワイルドな樽風呂がある「ふけの湯温泉」など、硫黄の名湯が多いというイメージがあるかもしれません。
しかし、硫黄の温泉にばかり入っていると、美肌効果が強すぎて肌がかえってカサカサになってしまうことも。
そんなとき、アルカリ性単純温泉の宿は間違いなくおすすめ!
今回ご紹介する「銭川温泉」は、やさしいお湯はもちろん、和モダンで落ち着いた内装と家庭的であたたかい雰囲気がたまらない最高の宿です。
なんともレアな「眼の洗浄」ができ、1泊4,000円以下で泊まれるのも魅力的。シンプルな湯治プランで、心身を癒してみませんか。
目次
超きれいで家庭的。おばあちゃん家みたいにくつろげる「銭川温泉」

秋田県を南北に縦断する国道341号線から分岐する坂を2kmほど降りたところにある「銭川温泉」は、母娘三代で切り盛りする家庭的な宿です。
分岐点は、八幡平の山の中へ続くアスピーテラインの終点から1kmもないところにあります。

手作りのぬくもりある看板にほっこりします。

受付はこんな感じで、伝統工芸品の「つるし飾り」が鮮やかです。全体的に木をふんだんに使った内装で、思わず裸足で歩きたくなってしまうほどの気持ちよさを感じます。

スリッパに履き替えて部屋に向かいます。
今回僕たちが利用したのはオンドル部屋です。オンドルは韓国の伝統的な暖房システムで、床下にかまどの煙を通して部屋全体を暖めるものです。ここのオンドル部屋も、それと似た造り。床下に温泉水を通しており一年中暖かいのが特徴で、夏でも夜になると冷え込むこの地域ではオンドルがありがたいです。
オンドル部屋は受付のある建物の隣の棟ですが、雨に濡れることなく移動できます。

「ゆっくり休んでたもれ」という秋田弁の看板に旅情を感じます。
部屋の写真は撮り忘れてしまいましたが、6畳の部屋で棚とコンセントをそなえています。Wi-fiも飛んでいるのが現代人にはありがたい限りです。

トイレ・洗面所は共用ですが、この通りとってもきれいなので心置きなく使えます。
お風呂は2ヶ所!どちらも源泉かけ流し

銭川温泉には、お風呂が2ヶ所あります。受付のある棟に大浴場が、オンドル棟に家族風呂があり、どちらも自由に入れます。
どちらも大きな窓があるので、日の光を浴びながら透き通ったお湯に浸かれます。
大浴場はタイル貼りで広々としていて、少し熱めのお湯で満たされています。お湯はpH9のアルカリ性で、キレと透明感が心地よいです。硫黄泉続きでちょっと疲れ気味だった肌がよみがえってきた感じがします。

家族風呂は「瀬煮川の湯」と名前がついています。「瀬煮川」とは、銭川温泉の由来になった伝説にちなんだ名前です。
病を患って湯治をしていた女性が山男に背中をさすってもらうと、病が毛の束となって体から出ていき、山男がそれを川に流すと女性はたちまち回復したという伝説から、「瀬が煮えている川」となって「銭川」になったのだそうです。
なんとも言えぬ気持ちよさ! レアな「眼の洗浄」を体験

昔懐かしいランダムなパターンのタイルと、杉板張りの湯船、そしてコンクリートと杉材を組み合わせた壁。スタイリッシュながらもぬくもりのある空間で、お風呂に入る前から感激してしまいました。
もちろんお湯も素晴らしいです。こちらでは湯面に細かな泡が浮いていて、大浴場よりもいっそう新鮮な印象を受けました。
伝説に出てくる女性は眼の病気も治ったとのことで、僕も新鮮なお湯で眼を洗ってみたところ、なんとも言えぬ気持ちよさでした。
調理場は広くて快適!料理も湯治の楽しみ

「湯治」は素泊まりが基本。リーズナブルな代わりに、布団敷きや料理などの身の回りのことは自分でやります。アメニティも自分で用意します。
自分のペースで自由に過ごすうちに、心の底からリフレッシュするのが湯治のいいところ。ふだんの温泉旅行と違って、食事の時間や布団敷きに来る宿の人を気にすることなく過ごせます。
銭川温泉がどれくらいリーズナブルかというと、1泊2,900円(税別)から泊まれます。布団をつけても1泊3,300円。税を入れても4,000円を切っています。ビジネスホテルよりも安いですよね。
別料金で食事をつけることもできます。山菜などを使ったヘルシーで美味しいお料理だということでたいへん心惹かれるのですが、今回は自炊を選びました。

共用の調理場は清潔そのもので、冷蔵庫や電子レンジなども完備。調理器具と食器はあるので、食材と調味料だけ持ち込めばOKです。手軽に自炊湯治できるのはうれしいですね。

晩ご飯には、地元の直売所やスーパーで買った野菜を中心に、回鍋肉となめこと豆腐の味噌汁を作りました。

朝ご飯は、ハムエッグ、キャベツのコンソメスープ、ハムエッグ、冷やしトマト、もろきゅうでした。新鮮な野菜はシンプルに食べるのが一番です。
朝の空気が気持ちいい!山の中の秘湯「銭川温泉」で湯治してみよう

銭川温泉のすぐ近くには川が流れていて、透き通った水と青々とした木々の葉を眺めていると心の底からリフレッシュできます。

宿の敷地内には薬師神社もあり、温泉の伝説にちなんで薬師様を祀っています。素晴らしいお湯に感謝です。
1泊4,000円以下でお手軽に湯治ができる家庭的な宿、銭川温泉。透明感のあるアルカリ性単純泉も最高に気持ちよかったですが、何よりよかったのがきれいで落ち着く雰囲気。宿を切り盛りするお母さんと娘さんも優しくて、楽しい時間を過ごせました。
「銭川温泉」の詳細情報
施設名 | 「銭川温泉」 |
---|---|
住所 | 秋田県鹿角市八幡平トロコ |
電話番号 | 0186−31−2336 |
営業時間 | 日帰り7時00分〜17時00分 |
定休日 | 冬期不定休(11月下旬~4月上旬:要問合せ) |
利用料金 | 日帰り:大人500円・小人250円 オンドル:1名2,900円(布団は+400円) 和室:2名以上1名3,900円・1名4,300円(布団つき) 食事:夕食1,700円・朝食1,000円・湯治セット700円(要予約) ※日帰り入浴以外は税抜き価格です |
駐車場 | 無料 |
URL | www.zenikawa.net/ |
あなたも銭川温泉で湯治を体験してみませんか。
2021年3月末で営業終了(廃業)、日帰り入浴は1月末まで(要問合せ)

銭川温泉は、2020年12月15日(水)に、公式ホームページで2021年3月末の営業終了を発表しました。
新規の宿泊予約は停止し、12月15日以前に予約があった方のみ宿泊できます。
日帰り入浴は1月末までの受付としますが、積雪が多い季節のため営業状況は事前に問い合わせが必要です。
2月から3月までは銭川温泉ゆかりのグッズを通信販売します。
温泉部の電話インタビューに対して、「家族で話し合った結果、営業を終了することにしました。これまでご愛顧いただいた方にたいへん感謝しています。」とのコメントを頂きました。また、営業終了後は温泉としての利用もできなくなる見込みとのことです。
素晴らしいお宿と温泉がまたひとつ消えてしまうのはたいへん残念ですが、ご家族の新しい門出がよりよいものとなるよう、縁のあった者の一人として祈念いたします。
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